元ニッセイ職員は、なぜ「保険を捨てた」のか 「家族を守る=生命保険」はあまりに盲目的だ

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そして、どうしても不動産ではカバーできない部分に生命保険をかければ、支出は大きく抑えられ、効率的な将来対策が実現します。ですから、それぞれの方法でカバーできるリスクの範囲を比べると、不動産の方が、費用対効果が大きくなるはずです。

選択肢はいろいろ知っておいたほうがいい

生命保険は「病気・ケガをしたとき」「死んだとき」など、いつ起こるか分からないリスクへの対策なので、必要かどうかを見極めることが非常に難しいと言えます。

生命保険しか選択肢を知らない場合、必要ないと思ってしまえばそれ以外のリスク対策をしません。しかし、加入しなかったことが原因で、本来非常に必要性の高い部分がノーガード状態になってしまう可能性もあります。

どれが必要か不必要なのかを見極めるポイントは、生命保険以外にどんな対策方法があるのかをきちんと知っておくことです。

今回は不動産を取り上げましたが、もちろん、不動産ですべてのリスク対策ができるわけではありませんし、不動産を持つことで新たなリスクを抱えることもあります。

たとえば不動産の相続時に相続税が発生した場合は原則として現金で納めますので預金を準備する必要がありますし、現金で受け取れる生命保険に入っておくことも大切です。

知っていて選ばないというのと、そもそも知らないということにはとても大きな差があります。馴染みのある生命保険だけでなく幅広く視野に入れることで、より効率的なリスク対策の方法がきっと見つかるはずです。

ポイントは、家族ができたから、30代になったから生命保険、といった考え方から一度離れてみることではないでしょうか。
 

工藤 将太郎 クレア・ライフ・パートナーズ代表

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くどう しょうたろう

1983年生まれ。大分県大分市出身。ファイナンシャルプランニングをおこなう株式会社クレア・ライフ・パートナーズ代表。前職の日本生命にて、外資系金融機関(証券・銀行・投資顧問)や、私立大学を中心とした学校法人の確定拠出型企業年金や、弔慰金制度などの福利厚生制度の構築に従事。企業の人事部だけでなく、財務部や各営業セクションとのRMに注力する。

“なぜ日本人は生命保険ばかりに偏るのか?”という疑問を持ち、不動産投資や海外投資など生命保険に偏らない将来対策法を実践。従来の“保険の提案だけ”のファイナンシャルプランナーとは異なり、“マネーパズル®”や“ハイブリッドプランニング®”など独自のノウハウを確立したことで、「効率の良い資産配分」「早期対策の有効性」「行動することの必要性」を説く。20代30代の若手サラリーマンから共感を得ている。
 

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