逆風にあえぐ地方鉄道、高速値下げが大打撃、フェリー・高速バスも苦戦《鉄道進化論》

逆風にあえぐ地方鉄道、高速値下げが大打撃、フェリー・高速バスも苦戦《鉄道進化論》

「ゴールデンウイーク(GW)が明けたら、お客さんはちいとも乗りゃあせんね」

松山市内のタクシー運転手がため息をつく。政府の景気対策の目玉の一つだった高速道路の料金値下げ。四国でもGWは瀬戸大橋など3本の本四架橋が軒並み渋滞の大にぎわい。地元の観光業界も特需に沸いた。

そのあおりを食ったのが中小フェリー会社やJR四国、そして現地のタクシー業界だ。「自家用車ばかりで電車に乗らないから、駅前のタクシーも使わない。市内は大小51社のタクシー会社が競合するが、稼働率が悪いので車庫に眠ったままの車もある」(前述のタクシー運転手)。

松山だけではない。高速道路・自動車優遇に偏重した景気刺激策は、長い景気低迷にあえぐ地方都市に光と影の両方の影響を与えている。全国地方各地の生の声を追った。

長野は訪問客の6割が車,青森も県外ナンバー増加

冬期オリンピック開催を契機に高速交通網が整備された長野では、東京-長野間は車なら3時間程度。長野県を訪れる人の約6割は自動車利用だ。GW中は目玉観光地、善光寺(長野市)の御開帳効果もあり「411万9000人(前年比約1・8倍)の観光客でにぎわった」(長野県観光部観光企画課)という。

家族単位での移動なら、ガソリン代を含めても新幹線を使うよりずっと安い。さらに高速道路値下げで、「週末の高速道路利用は間違いなく増えている」と、長野経済研究所調査部の野崎光生上席研究員は語る。

また、東北新幹線の延伸を待つ青森でも、県外ナンバーの自家用車が目立って増えているという。「県内の電車・バス網は貧弱なうえ、マイカーでないと行けない秘湯などの観光地が多い」(観光業業界関係者)。

値下げもそうだが、高速道路の地方への延伸自体が鉄道にとっては大きなネガティブインパクトを与えている。北陸地方では、東海北陸自動車道の開通で名古屋圏へのアクセスがよくなったことを受け、観光業界が中京圏をターゲットにした観光戦略を打ち出している。「名古屋駅のコンコースに巨大な富山県のPR横断幕を下げた。旅行客が増えただけでなく、物流でも名古屋との結びつきが強くなっている」(富山県庁)。

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