寝酒でぐっすりは大間違い、大量飲酒で依存症の恐れ《特集・差がつく睡眠力》

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 長期間大量に飲酒を続けていたアルコール依存症患者の場合、眠りのパターンが回復しても、眠り全体が浅くなる状態が長期間続くことも少なくない。久里浜アルコール症センターでは、3~4年浅い眠りから抜け出せない人もいたという。

樋口氏は、「不眠で悩んでいる人は寝酒に頼らず、睡眠の専門医にかかり、睡眠導入剤の処方などの適切な処置を受けることが大切」と話す。

いくら何でも、自分は依存症にまではなるまい--。そう考えている人も多いはず。だが、アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)副代表の水澤都加佐氏は、こう忠告する。

「普通の社会生活を送っていて、最初は会社の宴会で酒を飲んでいた程度だったのが、気がつけば習慣的になり、依存症になっていた。そういうケースは少なくない。意志の弱い人がなる、というのも偏見で、誰にでも依存症になるリスクがあると考えたほうがよい」

酒を飲む機会が多い人は、次ページのチェックリストを試してほしい。チェックした項目が多く、依存症の疑いが高い場合には、アルコール外来など専門医に相談してみよう。

とはいえ、酒は、一日の疲れを癒やすささやかな楽しみでもある。睡眠障害を引き起こさず、依存症にならない飲み方はないのだろうか。

「眠るためにお酒を飲むのは勧められないが、楽しみのためということであれば、1回の飲酒量を減らすことで、体への影響は少なく抑えられる。また、お酒を飲まない日をつくることが大切。休肝日という言葉があるが、依存を防ぐ意味でも重要といえる。週に2~3日は休肝日を設けるべき」と樋口氏は説明する。

どれくらいが適当な飲酒量かは、個人差があって難しい。厚生労働省「健康日本21」では「節度ある適度な飲酒」の目安を、1日平均アルコール摂取量で20グラム程度(ビール中瓶1本、清酒1合に相当)としている。自分に合った量を、あくまでも楽しみのために飲むことを心掛けたい。

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