原料高騰に”買い負け”で調達も困難な食品業界

昨年6月にキユーピーが17年ぶりとなるマヨネーズの値上げを行って以来、食品の値上げが相次いでいる。だが、値上げが本格化するのは、これからだ。

今後数カ月以内に大幅値上げが予想されるのが、小麦関連の食品。日本で使用される小麦の約9割は輸入品で、ほぼ全量を国が輸入し製粉会社に売り渡している。小麦の国際価格はここ3年で約3倍に急騰、小麦の政府売り渡し価格も4月から3割値上げされる。

小麦売り渡し価格は2007年10月にも10%値上げされたが、このとき実施された食品の値上げは、製パン最大手の山崎製パンで平均8%、即席麺最大手の日清食品で平均7~11%だった。食パン1斤で約20円、カップ麺で約15円。仮に4月からの小麦値上げも同様の率で影響があると、食パン1斤40~60円程度、カップ麺は30~50円程度値上がりする可能性がある。1年前なら170円で買えた食パンが250円となり、155円だったカップ麺が200円になったとしても不思議ではない。

ただし、大幅な値上げは、消費者が抵抗を呼び、売り上げを減少させかねない。そこで山崎パンは、昨年の値上げの際、食パン「超芳醇」の下に「芳醇」という新製品を投入した。これまで150~170円だった「超芳醇」が170~190円に上がり、「普及価格帯の製品がなくなってしまったことに対応した。半斤の商品を発売するほか、一部では減量も検討する」(山崎パン)としており、製品面でも踏み込んだ見直しに着手している。

小麦の輸出制限始まる、入札競争に勝てない

小麦だけではない。大豆の国際価格は、ここ1年で3倍近く急騰。大豆を原料に使う食用油は、1年で3割値上がりした。値上げに慎重だったキッコーマンも3月からしょうゆを値上げ。世界的な穀物高に連動してハムやソーセージの原料となる輸入肉も高騰している。バターやチーズといった乳製品も例外ではない。

背後にあるのは世界的な食料争奪戦だ。新興国の成長で食料需要が急増、需給はかつてないほどに逼迫している。バイオエタノールなど燃料需要拡大でトウモロコシに作付面積を奪われた大豆は、在庫率(米農務省公表)が5%にまで低下。適正在庫の3分の1以下という危険水域にある。小麦では、ロシアやアルゼンチン、中国、ウクライナなど輸出国の一部が輸出制限に動いている。

その中で起きているのは、日本の”買い負け”だ。日本の食品メーカーは大手スーパーなどの価格圧力に押され、安い価格で原料を調達しなければ採算が取れない。しかし、その価格では、他国との入札競争に勝てないケースも出始めている。

しかも、買い負けている相手は先進国ではなく、中国やロシア、バングラデシュといった新興国。「日本は品質面で細かい注文を出すが、新興国はうるさいことを言わずに、日本よりも高い値段で買い付けていく」(食品業界関係者)。

食品メーカーの中には、値上げが通らなければ、商品を売らないという「最終手段も場合によっては検討しなければならない」とする企業も出始めている。食品メーカーの危機感は一段と深刻度を増している。

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