「ツイッター」の日本開拓 アクセス数はうなぎ上り

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「ツイッター」の日本開拓、アクセス数はうなぎ上り

7月21日、自民党の若手議員らが衆議院解散の激動の一日を実況中継し、翌日には熊本放送が日食の様子を中継--。インターネット業界では新しい形の“生中継”が話題になった。その中継がネット上の「つぶやき(ツイッター)」を記録する米国発の無料マイクロブログサービス「ツイッター」をフル活用していたからだ。

日本での知名度は低いが、米国ではオバマ大統領も愛用し、国民の10人に1人がアカウントを持つといわれるほど浸透している。ツイッター社の共同創業者エヴァン・ウイリアムズ氏は、無料ブログサービス「ブロガー」の開発者。同サービスをグーグルに売却後、グーグル勤務を経て仲間と独立。2006年7月、現在のサービスを始めた。

技術仕様を公開している点が大きな特徴で、関連のソフトは多彩。会員登録が簡単なうえ、「140文字以内」という普通のブログにない制限も逆に手軽さを生んでいる。米国では携帯電話向けのショートメールサービスとして、その高い利便性が拡大のきっかけとなった。

日本も100万人が利用

今年に入り日本でもユーザーが加速度的に増えつつある。08年4月の日本語版開始時は、トップ画面の月間ページビューが640万だったが、この6月には4000万を超えた。外資系企業がマーケティングに積極的に用い、大手新聞社がアカウントを開設してニュース配信を開始したことなどが、拡大の起爆剤になったようだ。日本語サービスの広告事業などを担当するCGMマーケティングの杉崎健史営業開発部長は、「おそらく日本でのアカウント数は100万ぐらい。普及は加速しつつあり、毎日のように状況が変わっている」と語る。

米本国では知名度抜群のツイッターだが、完全無料のため売り上げはほぼゼロ。一方で、ネットビジネスの事業化を手掛けるデジタルガレージ(CGMマーケティングの親会社)が業務資本提携しており、日本におけるビジネス展開は積極的だ。トップページにバナーを貼り付ける広告事業に加え、企業のプロモーション活動を支援する有料サービスも準備中。その成果を見極めて米国に移植する算段だ。ユーザーへの浸透具合は米国の1~2年遅れのように見えるが、事業モデルを構築するうえでは、実は日本が先行している。

現在、モバイルでの公式サービス開始に向けて準備を進めており、年内にも日本の携帯電話キャリアと提携する予定。ケータイ先進国でその「手軽さ」がどこまで受け入れられるか。次なる飛躍のカギとなりそうだ。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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