日本の総合化学業界の見通しはネガティブ 《ムーディーズの業界分析》


コーポレート・ファイナンス・グループ
VP−シニア アナリスト 小坂 則子

 日本の総合化学業界の見通しはネガティブである。本稿は今後12~18カ月間の同業界のファンダメンタルな信用状況に対するムーディーズの見通しを述べる。

■ 自動車、電機、建設、住宅セグメント等の最終製品市場が引き続き低調に推移しているため、在庫調整後の数量回復も穏やかなものとなる可能性がある。

■ アジアや中東での新設備が徐々に稼働しているため、石油化学事業の収益構造の再構築にかけられる時間は限られている。

■ 格付けの強みのひとつである、収益の高い安定性を取り戻すことが、信用力指標を支えるカギとなるだろう。

■ 能力増強のための投資は向こう数年にわたって縮小するであろうが、将来の成長性を確保し、市場地位を維持するための必要投資は継続される。

■ 財務の柔軟性は維持されるだろうが、財務ファンダメンタルズの改善には時間がかかるだろう。

概要
 エチレンセンターの運営から付加価値製品、特殊化学品、川下製品にわたる、多角化された製品ラインを有する日本の総合化学会社の収益は、世界経済の減速と2009年3月期下半期以降のナフサ価格の大幅な変動により、悪化している。すべてではないが、多くのポリオレフィン、およびその他の石油化学品の価格はフォーミュラ(石油価格決定の一方式としてあらかじめ定められた計算式で算出する価格)によって決定される。だが、原燃料価格の変動スピードが急速すぎて、フォーミュラではタイムリーに追随しきれない状況だ。また数量の大幅な減少も、収益悪化に歯止めをかけようとする各社の取り組みを阻害する要因となっている。

経済産業省は2009年のエチレンの国内生産量は6.6%減の643万トンと、2008年の11.3%減に続く減少となる、と予想している。最近のデータでは、エチレン生産設備の稼働率は2008年第4四半期(2009年1~3月期)に底打ちし、2009年4月には回復し始めている。しかし、低調な経済情勢が続く中、在庫調整後の数量回復は穏やかなものとなるだろう。

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