LOHACOはアマゾンや楽天と何が違うのか 米国流とは全く違う「ネット通販」のかたち

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P&Gの人気スキンケアブランド「SK-Ⅱ」。LOHACOには価格だけではない価値があるからこそ、人気ブランドもECショップを開設した

メーカー直結型では、すでに具体例がある。たとえば、すでにLOHACOには化粧品専門のネットショップの「LOHACO BEAUTY」があるが、この2月からは人気スキンケアブランド「SK―Ⅱ」のEC専業初公式オンラインショップがオープンした。

これもメーカーが、価格だけではない新しい顧客創造のあり方について、私たちの考え方に共鳴してくれたから実現したのだと思う。

物流も「LOHACO流」、独自のポジションを築く

――物流の考え方も違うのですね。

LOHACOでは、お客様が日常使いの商品を複数まとめて購入し当日もしくは翌日に時間指定でお届け出来るように、物流ネットワークが構築されている。そこでは、よく売れる商品を効率よく詰めることができる高度なピッキングシステムや、スピーディに出荷しお客様の手元まで配送する仕組みが要求される。

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さらに当社の物流センターは、通常の倉庫ではない。商品だけでなくサービスとしての価値もお届けするため、薬局があったり、精米所もあったりする。

後者は、生産者から厳選した玄米を買い取り、当社が物流センターで出荷直前に自家精米して届ける(北海道産のゆめぴりかを精米した「ろはこ米」)ためのものだ。これらはすべてお客様が求めるものをアスクルとしていかに提供出来るかを考えて生み出したものだ。

また、配送の考え方も違う。LOHACOは、B2Bが主体の通販であるアスクルの物流と組み合わせで構築しており、アスクル全体での自社配送比率は現在約60%。この比率はあくまでもお客様へのサービスをいかに最適化出来るか否かで変わるが、基本的には大手宅配パートナーの力を活用させてもらいながら、常にトータルに環境への負荷も考えて行動する。

ECの急成長を背景に、トップメーカーもデジタル化に経営の舵を切り出している。「新たな産業革命」といえる時代にあってアスクルは、企業理念である「お客様主義」を徹底しながら、自らの勝てる構造をもってして、メーカーとともに「新しい独自のポジション」をとっていく考えだ。

福井 純 東洋経済 記者

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ふくい じゅん / Jun Fukui

「会社四季報オンライン」編集部長。『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報プロ500』『株式ウイークリー』『オール投資』編集長、「東洋経済オンライン」編集部長、証券部長を経て現職。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)、日本テクニカルアナリスト協会理事

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