「英語が苦手ならば他人をモノマネしなさい」 ビル・ゲイツをマネした成毛眞氏の場合

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さすがにまずいと思い、私は英語を使えるようにならなくてはならないのだと気付きました。しかし一方で、コツコツ真面目に勉強など、絶対に、絶対にしたくない。英語に向き合う前に自分の性格に向き合い、どうしたら効率的につまり楽をして英語を身につけられるかを徹底的に考えました。

ラクに英語を身につけるために「目標」を決めよう

私の本業は英語ではなく、英語は本業のためのツールのひとつに過ぎません。だから、それにばかり時間を割くわけにはいきません。

かといって、いかにも日本人的なカタカナ英語は話したくないという気持ちもある。なぜならそれでは通じないかもしれないし、自分でもあまり話したいと思えない。

では、どんな英語を身につけたいのか。英語のテキストを開くよりも先に、それを決めることにしました。

まず、ビジネスで使うのだからビジネス英語。これは当たり前です。日常会話や、字幕なしでハリウッド映画鑑賞などといった、一見、簡単そうに見えて実は茨の道を選ぶことはしません。仕事のためのツール・ビジネス英語と割り切ります。

さらに、「お手本」を絞り込みます。ビジネス英語といってもやはり幅は広いので、他業界はさておいて、自分の業界のビジネス英語ができるようになることを目指すことにしました。ということは、すでにこの業界で、日本人的カタカナ英語ではない英語を使っている人をまねればいい。

では、誰をまねたらいいのか。私の場合、最も身近な、同じ業界のビジネス英語の話者はビル・ゲイツだったので、ビル・ゲイツの英語を、使う言葉も、発音も、なにもかも、まねられるだけまねようと決めました。

お手本が決まると、自分の目指す像が明確になり、ぶれません。目標が、「英語が話せるようになりたい」というぼんやりしたものから「ビル・ゲイツの英語に似た英語を話せるようになりたい」という具体的なものになるので、たとえば、ビル・ゲイツのスピーチの物まねをすることも立派な英語の練習になるのです。

「物まね」というと、顔まねや歌まねを思い出すかもしれませんが、そもそも物まねとは何でしょうか。それは、「他人の特徴を抽出し、再現すること」です。ビル・ゲイツのような英語を話したければ、ビル・ゲイツの英語にはどんな特徴があるか、少なくとも自分とはどこが違うかを把握する必要があります。

それが見つかったら、再現します。いきなりそっくりにはできないでしょうが、物まねは、やっているうちに必ず上達します。下手になることはありません。つまり、まねていれば手本に必ず近づけます。

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