(第23回)<前園真聖さん・前編>サッカー以外考えられなかった

(第23回)<前園真聖さん・前編>サッカー以外考えられなかった

今回は、元サッカー選手、今はサッカー解説などでおなじみの前園真聖さんのお話です。
28年ぶりに五輪出場を決めたアトランタオリンピック(1996年)では、サッカー日本代表のキャプテンを務め、また、Jリーグ発足後、選手として活躍し、日本のサッカー人気の火付け役のキーパーソンのひとりです。
 小学一年生からサッカーをはじめ、「プロサッカー選手になる」という夢をずっと持ち続けていた。サッカー以外の人生は、「今でも考えられない」という前園さん。朝から晩までサッカー三昧の高校時代、音楽が大好きだったという小・中学生の頃、そして現在、サッカー協会の「JFAこころのプロジェクト」の一環で、実際に小学校で「夢の授業」を行なってみて思うことなど、お話いただきました。

●プロへの道を決めた、恩師との出会い

 いろんな先生がいましたが、やっぱり一番思い出に残っているのは、高校時代のサッカー部の監督、鹿児島実業高校の松澤隆司先生です。先生は電気科だったので、授業で会うことはありませんでしたが、サッカー人生においては恩人です。プロになるきっかけを作ってくれたのも松澤監督だったし、監督に出会っていなかったらプロになっていなかったんじゃないかと思うくらいの存在です。
 高校のときは監督の家に下宿させてもらっていたので、練習が終わってからも毎日顔を合わせていました。いろんなことを話しました。スポーツの技術的なことはもちろん、挨拶とか日常生活の基本的なこと、人間として基本となることを徹底的に叩き込まれました。僕らの頃は、悪いことをしたら殴られました(笑)。試合に負けたとかそういうことではなく、人間として間違ったことをしたときに、ものすごく怒られました。

 サッカー以外の部分でも常に厳しく、サッカーをしっかりやりながらも、学校生活や勉強もきちんとやるようにと。毎日朝早くから夜遅くまで練習で、春休みや夏休みといった長期の休みも遠征していたし、テスト期間といっても勉強に集中できたことはありません。毎日、下宿に帰ると疲れきっていました。そういう状況をわかっていても、「サッカーだけではなく、勉強もしっかりやれ」と言われました。できないならできないなりに、何かで返せということも。学校行事も同じ。何事にも負けるなということで、一所懸命やっていた覚えがあります。

●サッカー界の流れにのりJリーガーに!

 小・中学生の頃は、日本にまだプロサッカーがなかったから、僕は海外に行ってプロになりたいと思っていました。高二くらいの時に日本にプロサッカー「Jリーグ」が発足するという流れになったのですが、そのときあらためて「プロになろう」と、自分の思いを再認識しました。
 こうした進路相談もそうですが、どこのチームに行くかといったことも監督に相談し、最後はチームも一緒に決めました。高校に入る時も監督にいろいろ相談して決めました。また、僕には、早く親孝行したいという気持ちもあったので、監督は、僕がなるべくプロにいける形を探してくれ、3年間協力してくれました。本当に感謝しています。

  そんな松澤監督の目にとまったのは中学生のとき。はじめ、僕の通っていた中学にはサッカー部がありませんでした。サッカー部ができた後、中学3年生の時、初めて鹿児島県選抜に選ばれました。そして、九州大会で鹿児島県選抜が優勝。それがきっかけです。そのときの選抜選手のほとんどが鹿児島実業に入学しました。
 鹿児島実業といえば、サッカーでは全国レベルの学校でした。プロになるためには全国大会に出場しなければならない。そのためには、鹿実に行かなければ、全国で名前を知ってもらえないと思っていました。

 高校に入ると、朝7時から練習。1時間くらい練習をして、練習が終わると、生徒が作った豚汁を食べます。その後、シャワーを浴びて着替え、授業に参加する。授業が終わるとまた夕方から練習。8時頃まで練習をして、その後自主練をしてからみんなで銭湯に行く。寮に帰ったらもう10時とか10時半くらいです。さらに、一年生の頃は、下宿の先輩の洗濯をしなければいけないので、そうなると寝るのは12時くらい。時間的なことを含めて、精神的にも一番きつかった時期です。

  一番思い出深いのは、高校二年の時に高校サッカーで準優勝したことです。小さい頃から正月は高校サッカーの試合をコタツの中で必ず観ていて、「ここでやりたい」という思いがずっとありました。鹿実もまだ国立()で試合をしたことがなかったので、念願の国立に行き、準優勝したことは、本当に嬉しかったです。

編集部注)国立:全国高等学校サッカー選手権大会では、準決勝、決勝と開幕戦の試合のみが国立競技場で行われる。国立で試合をすることは、多くのサッカー選手の夢と言える。
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