フジテレビが大博打、15時間生放送の胸算用 民放キー5局の「4月改編」の狙いを読み解く

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TBSがフジを抜く日は来るのか(撮影:今井康一)

かつての2強の一角が不振からの脱却にもがく中、4月クールの注目株がTBSだ。不動産事業の稼ぎぶりから、“不動産会社”とも揶揄されてきた同社だが、最近は視聴率が復調傾向にある。

バラエティが好調だったことなどから、2015年10~12月期のゴールデン視聴率は、前年同期比1.1ポイント増の10.5%。それまで4位が指定席だったが、フジ(9.0%)を上回り、テレビ朝日(11.4%)、日テレ(12.0%)を追撃できる位置につけた。全日(6~24時)も6.0%と、フジの6.1%に迫る。

朝と午後の情報番組に課題は残るが、昨秋には連続ドラマ「下町ロケット」が大ヒットした。テレ朝における「相棒」「科捜研の女」のように、長期で視聴率を稼げる人気シリーズが生まれれば、一段の躍進も現実味を帯びてくる。

試される編成の力量

フジの大博打は実を結ぶか

2015年の地上波テレビ広告費(電通調べ)は、消費増税前の駆け込み需要やサッカーW杯の反動で、前年比1.4%減の1兆8088億円となった。

2ケタ増が続くインターネット広告と比べれば、成長余地は乏しい。限られたパイの中で、どれだけ広告主からの評価を高められるか、編成の力量が問われることになる。

このまま日テレの独走が続くのか。それとも、大博打に出たフジが巻き返すのか。今回の4月改編は、今後の民放の勢力図を占ううえで、大きな分岐点となる。

「週刊東洋経済」2016年3月5日号<2月29日発売>「核心リポート05」を転載)

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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