ホンダがヒット車を生むために作った新体制 走りやデザインの向上がカギに

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これも結局はホンダ自身、ここ数年、目立ったヒット車を出せていないことが大きい。余剰解消で期待されるのは、今後モデルチェンジを控える「CR|V」「アコード」などグローバル車種だが、裏返せば、“過去の遺産”に頼っているといえる。

八郷社長が「いかに商品力ある車に仕上げるか」と強調するように、かつてのホンダ車らしいデザインや走りが今は弱い。

社長より年長の執行役員7人は退任

ホンダで生え抜き初の女性執行役員となる鈴木麻子氏

さらに今回は人事も塗り替えた。

社長より年長の執行役員7人退任で世代交代を促進。副社長には「中国で100万台の販売を達成できる人材」(八郷社長)として中国本部長を務める倉石誠司常務執行役員(57)が昇格する。生え抜き初の女性役員として、東風本田の鈴木麻子総経理(52)も執行役員に就任、日本での商品計画を受け持つ。多様な視点を通して市場の声を吸い上げる考えだ。

「より競争力のある車造りに向けた改革」とある系列部品メーカー社長が認めるように、近年いい話題のなかったホンダから少なくとも「変化」がうかがえる。とかく発信力に乏しく、地味なホンダを象徴していたような八郷社長も、独自色発揮に懸命だ。体制刷新で念願のヒット車を生み出せるかどうか。「チーム八郷」の真価が問われる。

「週刊東洋経済」2016年3月5日号<2月29日発売>「核心リポート03」を転載)

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年10月から東洋経済編集部でニュースや特集の編集を担当。

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