ゼネコンが空前の好決算ラッシュに沸く理由 「過去最高益」が続出している

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ゼネコン業界はまさに好決算ラッシュ。では、いつまでこの好決算が続くのか。絶好調の背景には、建設需要の拡大がある。東北の震災復興需要に始まり、アベノミクスによる公共事業の復活、さらに首都圏を中心に大規模再開発が動き出し、併せて大きなインフラ整備もあった。

さらに、JR東日本が進めてきた首都直下型地震対策工事、NEXCOの東京外環道、名神など高速道路、九州新幹線、北陸新幹線に続く北海道新幹線の延伸工事、また、JR東海が進めるビッグプロジェクト、リニア中央新幹線の工事も一部工区では始まっている。

首都圏再開発も目白押しだ。たとえば、大手町再開発や日本橋再開発といった大手デベロッパーが進めるプロジェクトのほか、西松建設(虎ノ門1丁目)や戸田建設(京橋1丁目)などゼネコンの本社ビル建て替えに絡む計画もある。「開発事業は期間が長いが、利益貢献も大きい。建設事業に次ぐ大きな柱」(準大手ゼネコン幹部)という。

今後は五輪関連工事が貢献する

紆余曲折を経て、ようやく建設に乗り出す新国立競技場(撮影:大澤 誠)

首都圏の建設需要は今後も拡大が予想される。東京オリンピック開催を前にその関連工事が動き出しているからだ。すでにメイン会場となる新国立競技場は大成建設の受注が決定、遅くとも今年12月には着工する計画だ。

さらに、水泳会場の「オリンピックアクアティクスセンター」(大林組など4社JV受注、約435億円)、バレーボール会場の「有明アリーナ」(竹中工務店など4社JV、約334億円)、ボート・カヌー会場の「海の森水上競技場」(大成建設など4社JV、約230億円)の3施設の建設プロジェクトが始動している。首都圏を中心に今後3年間、つまり東京オリンピックが始まる1年前までは、この建設需要が続くと予想されている。

ただし、業界にまったく不安要素がないわけではない。人手不足だ。各ゼネコンは技術者や現場の熟練工など、人手不足が年々深刻化し、すべての建設需要に応えられない事態につながっている。建設費が高騰して、市町村の公共事業の入札不調や設備投資を見送る民間企業も出ている。

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