『脱「ひとり勝ち」文明論』を書いた清水浩氏(電気自動車開発者、慶應義塾大学環境情報学部教授)に聞く

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『脱「ひとり勝ち」文明論』を書いた清水浩氏(電気自動車開発者、慶應義塾大学環境情報学部教授)に聞く

「未来は明るい」と著者は手放しで強調する。地球温暖化もエネルギー問題もすべて解決できると言う。電気自動車Eliica(エリーカ)開発者が語る「太陽電池と電気自動車」が作る新文明とは。

--世界の未来は明るい、がこの本の「ご託宣」です。

21世紀はこれまでより、はるかにいい時代になる。技術によって圧倒的に違った21世紀ができる。その技術は、20世紀の末に発明され、日本で実用的に使えるレベルにまできた。ただまだ値段が高い。

生活の豊かさは基本的にはエネルギーがたくさん使えるかどうかで決まる。20世紀末に発明されて開発されてきた太陽電池(太陽光発電)、それを貯めるためのリチウムイオン電池、効率よく使うモーター用のネオジウム鉄磁石、それらが合わさって、20世紀とは違った技術の使い方ができる。

20世紀は世界人口からすればわずか1割の人しか裕福な生活が送れなかった。だが、21世紀は地球の陸地の1・5%に太陽電池を張れば、世界の70億人がみな、いわゆる先進国と同じような豊かな生活が送れるようになる。

--しかし太陽電池にしても、日本のシェアはジリ貧です。

危機だと思わなければいけない。日本で苦労して開発してきたすばらしい技術の普及が停滞している。太陽電池は世界生産量の55%を2005年に日本が持っていた。それが今や十数%まで下がった。

政府は太陽電池に1000億円レベルの予算をつけ、目標は20年までに今の20倍の量の太陽電池を作るという。しかしこの金額では1ケタ足りない。3年で10倍作る目標で毎年1兆円投資する。そのぐらいに速度を上げられるかどうか、それで日本が世界に対して勝てるかどうかが決まる。そうなれば、また日本は世界シェアの半分をとることも可能になってくる。 

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