沈黙するモディ首相の指導力は大丈夫なのか

インドで広がるデモや暴動

 2月24日、大規模抗議デモや暴動が相次ぎ、インド各地に混乱が広がる中、同国のモディ首相は「沈黙は金」とばかりにだんまりを決め込んでいる。写真はニューデリーで1月撮影(2016年 ロイター/Adnan Abidi)

[ニューデリー 24日 ロイター] - 学生逮捕に対する大規模抗議デモや、身分制度に絡む北部ハリアナ州での暴動が相次ぎ、インド各地に混乱が広がる中、同国のモディ首相(65)は「沈黙は金」とばかりにだんまりを決め込んでいる。

与党・インド人民党(BJP)のある幹部は「彼(首相)は職務にまい進する真剣な政治家というイメージが人気の源泉だと考え、逐一これを説明する必要はないと思っている」と話す。

別のブレーンは、今週開会する国会では予算審議を控えて対決ムードが強まり、首相の野心的な経済改革が一段と停滞しかねないため、最近の暴動については抑制した説明に終始するだろうと語った。

モディ氏率いるBJPが、寡黙なシン前首相率いる国民会議派に圧勝した2014年5月の総選挙での、決断力あるリーダー像は崩れつつある。

米カーネギー・エンダウメント国際平和研究所のアソシエイト、Milan Vaishnav氏は、首相の指導力に疑問が生じていると指摘。「モディ氏は決断が速いCEO(最高経営責任者)タイプの指導者だと思っていたが、必ずしも有能な為政者ではないかもしれない。その兆しが表れているとしたら問題だ、とすでに囁かれ始めている」と述べた。

インドではここ数週間、政府を批判する集会を首都ニューデリーで開いた学生グループの指導者が逮捕されたことに対し、各地で数千人規模の大学生が抗議運動を繰り広げている。

北部ハリアナ州では伝統的身分制度「カースト」での「ジャット」と呼ばれる多数派集団による暴動が起きた。被差別層に割り当てられる公職などの優先配分の拡大を求めて起こした抗議運動の参加者が暴徒化し、道路や線路を封鎖したほか、水の処理施設を占拠、デリーへの水の供給が遮断される事態となり、暴動鎮圧のため軍も出動した。

1週間以上にわたる暴動による死者は19人、負傷者は170人に達している。

モディ首相はこれについて先週末、不特定の外部からの陰謀だと非難し、「私の名誉を傷つける陰謀が毎日実行されている」と述べた。

モディ氏の自伝の著者であるNilanjan Mukhopadhyay氏は「まともに政権批判に対応できないことを自ら認めたようなものだ。だから誰かを身代りにせざるを得ない」と述べた。

不測の事態に対する首相のこうした態度は、演説で熱弁をふるい、ソーシャルメディアで巧みに発信するコミュニケーションの達人と言う評判とはほど遠いものになっている。

インディア・トゥデイ誌が先週発表した世論調査によると、モディ首相の支持率は高いままだが、国民会議派への支持が大きく回復し、現政権の改革を阻止する戦略や抗議運動に理解を示す姿勢が評価されている。

今すぐ選挙を実施した場合、与党側が過半数を維持するものの大幅に議席を減らし、一方の国民会議派は議席を倍増させるとみられる。

 

(Andrew MacAskill記者 Douglas Busvine記者 翻訳:長谷川晶子 編集:加藤京子)

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