公的資金の出資第1号、エルピーダ救済の成否

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 巨額の設備投資を要するDRAMは、典型的な装置産業。微細化すればウエハ当たりのチップ個数が増えるため、製造コストは大きく下がる。ライバルに先駆けて大型設備投資を行い、赤字覚悟でも低価格で需要を喚起すれば、量産効果で利益を稼げる。

この勝利の方程式を遂行したのがサムスンであり、日本勢を抜き去った。

しかしパソコン性能の成熟化で需要の伸びは鈍化、業界は過剰供給から抜け出せなくなった。08年後半の経済悪化も追い打ちをかけ、09年に入り大手の一角である独キマンダが経営破綻。

コスト競争力の落ちる旧ラインの停止もあり、DRAM価格は反転している。それでも1・1ドルの現行価格は、採算ラインの1・5ドルに及ばない。

消耗戦の継続も

「DRAM業界は最後の戦いに入った」(坂本社長)。泥沼の消耗戦に、頭一つ抜けるサムスン以外は、台湾メーカー、韓国ハイニックス半導体、米マイクロンのどこが脱落してもおかしくない状況にある。エルピーダは今回の資金調達で、当面生き残ることができる。

坂本社長は技術提携するTMCと組むことで「最後に残るのは2社か3社。韓国と日台連合に、アメリカ台湾連合が入ってくるかどうか」という絵を描く。もっとも日本が直接支援に動いたように、各国が資金支援を行えば消耗戦が続く可能性は残る。

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