武田薬品が新薬承認延期で大打撃、決意の方針転換
5月の決算説明会の席上で、長谷川閑史社長はこう語った。「今までの研究開発は、量とスピードに集中しすぎた。これからは質に重きを置く。多すぎるパイプライン(新薬候補群)を見直す」。申請までのスピードを重視しすぎた結果が追加試験の要請につながったとして、開発方針の転換を宣言したのだ。実際、ある治験受託企業の幹部は「昨年後半から武田の発注が減ってきた」と話す。
主力薬の特許切れが相次ぐ2010年問題を目前に、医薬各社の新薬開発への重圧は強まっている。だが、莫大な費用と時間をかけて開発する新薬ビジネスは賭けの連続。より絞った薬の種で画期的新薬を生み出せるか。武田の方針転換の成果が問われている。
(前野裕香 =週刊東洋経済)
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