コメ卸が描く、すし・居酒屋の日本食連合構想 渡邉美樹に憧れた男が仕掛ける外食業界再編

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神明HDの藤尾社長の狙いは、すし、居酒屋など日本食連合で海外を攻めることだ(撮影:梅谷秀司)
外食業界でコメ卸最大手の神明ホールディングの存在感が増している。2月には居酒屋大手のワタミに4.2%を出資。2012年6月には回転ずし中堅の元気寿司に出資(2015年6月に株を買い増して子会社化)。コロワイドに売却してしまったが、「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトの筆頭株主だったこともある。外食企業へ次々と出資を進める狙いはどこにあるのか。神明HDの藤尾益雄社長が東洋経済のインタビューに答えた。

インドネシアで日本のすしが大人気だった

――コメ卸から外食業界に参入した理由は何か。

きっかけは、私が2010年にインドネシアのジャカルタに行ったときにさかのぼる。現地の回転ずし屋に行ったら、120~130席もある店舗なのに、満席だったことに驚いた。メニューも味も日本と変わらない。

日本の食文化である、すしはすごい勢いで広まっていることに気づいた。帰ってもそのことが忘れられず、取引なり、コラボ企画ができないかと探し回ったときに出会ったのが元気寿司だった。

――元気寿司と資本業務展開に至った経緯は?

元気寿司には私からアプローチして、2012年に資本業務提携に至った。当時はグルメ杵屋が筆頭株主で、椋本充士(むくもと あつし)社長とはダイエーがやっていた経営者向け勉強会で席を並べた仲で、20年近い付き合いがある。

椋本さんに連絡して「日本食をもっと広めて海外に市場を作りたい。作った市場にコメとか日本の食材を持ってきたいんや」という私の思いをぶつけた。そうしたら椋本さんから「元気寿司の株譲りましょか」と言われた。それがきっかけだった。

――カッパ・クリエイトにも出資していた。

私たちがカッパに出資したときは経営が大変なときだった。神明が関東(本庄)に精米工場を建てて得意先を開拓したときからの取引先がカッパだった。そのカッパが弱っているなら「なんとか支えなあかん」と。

最初は3%くらいの出資比率だったが、後に筆頭株主になった。業績悪化で財務制限条項に触れていたから。取引先の銀行を「うちが全面的に支援するので」と説得してまわり、一命をとりとめた。

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