「革新機構のシャープ再生案は再編が軸だ」 志賀会長、鴻海とのコンセプトの違いを説明

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 2月19日、政府系ファンドの産業革新機構の志賀俊之会長は日本記者クラブで講演し、経営再建中のシャープに提案している再生案について、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業とはコンセプトが違い、業界再編を軸としたプランだと述べた。都内で2015年7月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 19日 ロイター] - 政府系ファンドの産業革新機構の志賀俊之会長兼最高経営責任者(CEO)は19日、日本記者クラブで講演し、経営再建中のシャープ<6753.T>に提案している再生案について、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業<2317.TW>とはコンセプトが違い、業界再編を軸としたプランだと述べた。

シャープだけでなく、日本の成長にとっても良い案だとあらためて訴えた。

革新機構はシャープからリスクの高い液晶事業を切り離してジャパンディスプレイ(JDI)<6740.T>と統合、シャープ本体には各メーカーの家電事業等を集め、あらゆるものがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)やロボット、AI(人工知能)の分野で日本を代表する会社にしたい意向だ。

志賀会長は「2つの案はよく金額で比べられるが、まったくコンセプトが違う」と説明。「革新機構の案は再編を軸としたプランになっている」と述べ、「シャープや株主、従業員、お客様、日本の成長にとっても良いプランだ」と強調した。一部に出ている革新機構の案は技術流出の阻止が目的なのではないかとの見方については「技術流出を防止するためにシャープをなんとかしようという要請を受けたこともないし、そんなことは考えたこともない」と否定した。

関係者によると、シャープはあす幹部会議を開き、ホンハイの支援案を中心に議論する。志賀会長は「あすになるのか来週の24日になるかわからないが、シャープの取締役は、本当にシャープにとって良いプランはどちらなのか、真剣に考えて選択してほしい」と訴えた。

革新機構は家電事業の再編では、シャープを通じて経営再建中の東芝<6502.T>の家電事業を買収し、新たに設立する持ち株会社の下で、シャープと東芝のダブルブランドで事業を展開するビジョンを描いている。一方、基礎開発や購買、販売管理、補修サービスは統合して、コスト削減を図る方針。

志賀会長は、仮にホンハイ案が採用された場合は「シャープを中心にIoT家電をやりたかったが、シナリオを変えて次の仕掛けを考えなければいけない」と述べ、液晶については「シャープが持っている技術とJDIが持っている技術が重なることで大きなシナジーがあると思っているが、(ホンハイ案採用により)これがなければシナジーがない中でJDIをしっかりと支えていく」と語った。

 

(志田義寧 浜田健太郎 編集:山川薫)

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