東京メトロ-最強”私鉄”が上場したら、株価はいくら?《鉄道進化論》

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 戦時体制で国鉄と東京都が持ち株を折半し帝都高速度交通営団に山手線内の地下鉄事業を一元化。後に都が地下鉄建設に乗り出し、交通局で都営地下鉄を始めたが、現在の東京メトロの株主は国53・4%、東京都46・6%の2者である。

完全民営化なら、両者の持ち株はなくなる。上場時にも一定割合の放出シナリオが濃厚だ。ここでは、新株発行がない前提で、現在の東京メトロの株式価値を推計してみる。参考にしたのは、上場鉄道会社で時価総額の大きい9社。

株価の割高、割安を示す指標として最もよく使われる株価収益率(PER)で見ると、市場平均並みかやや割安のJR3社と、かなり割高の他の民鉄との水準の乖離が激しい。

鉄道株は電力会社と同様、社会インフラ関連のディフェンシブ株で、製造業と比べれば景気の変動に大きく左右されにくいとされる。そこで、株価純資産倍率(PBR)を使った推計を試みた。上場9社の平均PBRは2・01倍。東京メトロの1株純資産524・3円を掛けると、株価は1052円となる。ここから逆算したPER(09年3月期末実績ベース)は14・1倍となった。

発行済み株式数5億8100万株から見積もった時価総額は6112億円。JR3社を含む全上場鉄道会社で5位の水準となる。

東京メトロを利用する個人投資家も多いはずで、他の民鉄のような割引回数券などの株主優待が付けば、購入希望者が数多く出るだろう。

上場後の収益も安定成長が続きそう。景気後退の影響で新幹線などビジネス長距離需要の落ち込みが激しいが、「東京メトロは近距離主力、かつ土日もお出掛け路線として安定している」(高橋光佳・みずほ証券シニアクレジットアナリスト)からだ。

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