シャープ買収、臨時取締役会の「票読み」は? 鴻海か革新機構か、迫られる取締役13人

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プロパーから、銀行や経産省の出身者、ファンドの現経営陣まで。役員の思惑は入り乱れる(写真はシャープ本社、撮影:ヒラオカスタジオ)

「取締役会でシャープの株主のためを考えている人などいない。ガバナンス(企業統治)なんてあったもんじゃない」(関係者)

立場の違う取締役がそれぞれの思惑を抱え、シャープ再建のパートナー選びが難航している。2月12日の臨時取締役会では、産業革新機構を支持する取締役が巻き返しを図ったが、鴻海(ホンハイ)精密工業を推す取締役の抵抗に遭い、流れを変えるには至らなかった。

取締役13人の票読みは、複雑だ。

13人のうち、鴻海支持は多いが・・・

高橋興三社長以下、プロパー4人は、2012年に鴻海がシャープへの出資を約束しながら実行しなかった経験から、郭台銘(テリー・ゴウ)董事長への不信感が強い。だが今回、鴻海は出資額7000億円を提案している一方、機構は3000億円。かつ機構案では、経営陣の刷新が明示されているため、選べば自分はクビになる。「高橋社長は保身の人」と、社員から揶揄されるだけに、鴻海支持に動く可能性はある。

債権者である銀行出身の役員2人は一枚岩ではない。当初から国内の液晶業界再編を唱えていた三菱東京UFJ銀行は、機構の主張する債権放棄に対して難色を示しながらも、おおむね機構案には合意しているもようだ。

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