ゆうちょ銀、マイナス金利で運用に手詰まり 預金獲得はむしろリスク、投信販売も中止に

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融資が認められていないゆうちょ銀行は、稼ぐ手段を失いつつある(撮影:尾形文繁)

「なぜ株価が下がるような政策を導入するんだ?」

1月29日、日本銀行が発表したマイナス金利政策は、ゆうちょ銀行株を直撃。インターネット上の掲示板では、投資家の悲鳴が相次いだ。

“国策企業”として、幅広い個人投資家から投資を募ったゆうちょ銀行は、長らく眠っていたタンス預金も吸い上げている。2015年10月、ある高齢男性が上場前に割り当てられるゆうちょ銀行株を買うために持ち込んだ1万円札を見て、証券マンは驚いた。紙幣に印刷されている顔が聖徳太子だったからだ。

ほとんどの投資家が損失を被った

旧1万円札は1986年に支払いが停止されている。この男性のように、タンス預金で、ゆうちょ銀行株を購入した個人は多かった。そうした投資家は、長期保有を考えているケースが多い。が、最高値の1823円をつけたのは、上場翌日の2015年11月5日。以降は上昇場面もなく、年が明けてからは下落トレンドに入った。足元では売り出し価格の1450円も割り込み、ほとんどの投資家が損失を被っている(上図)。

銀行業界に逆風となるマイナス金利。最も大きな打撃を受けるのは、ゆうちょ銀行だろう。規模が邦銀最大であるうえ、原則として融資業務が認可されておらず、運用の主力が国債だからだ。

もともと国の直営事業として運営されていたゆうちょ銀行は、業務内容にさまざまな制限が課されている。ほかの銀行では主力である融資事業も、ゆうちょ銀行の場合、申請から3年以上経っても認可されていない。運用はおのずと有価証券頼みとなる。

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