崖っぷちの日本航空、政府監視下で再建へ

崖っぷちの日本航空、政府監視下で再建へ

日本航空(JAL)再建に政府の監視がつく。河村建夫官房長官、金子一義国土交通相、与謝野馨財務・金融・経済財政相の3閣僚は、大企業では初の「政府保証」をつけた約1000億円の緊急融資に合意。日本政策投資銀行(政投銀)を中核にメガバンク3行を加えた協調融資が実施される運びとなった。

3度目の緊急融資

政投銀による危機対応融資は、昨秋の金融危機で資金繰りが悪化した大手・中堅企業を対象に始められ、5月末で融資実績が384件(合計1兆4322億円)に上る。JALの緊急融資もこの一環だが、注目すべきは実質的な政府保証である「損害担保契約」が付されたことだ。

これは貸出先の格付けや融資額などから、リスクが高い企業と判断される場合、政投銀が政府全額出資の日本政策金融公庫から信用補完(融資が焦げ付いたときに一定割合を補填)を受ける仕組み。損害担保契約はこれまで4件、合計額も107億円とごくわずか。対して、JALの融資額はケタ違いに大きく、補填割合も上限の8割と手厚い。大企業の政府保証は異例中の異例で、リスクの高い巨額融資に政投銀も及び腰だったとみられ、最後は「閣僚案件」にまで上らざるをえなくなった。

JALへの緊急融資は、2001年の米同時多発テロ、03年の新型肺炎SARS禍に続く3度目。結果、09年3月末でも政投銀からの借入残高は2346億円と、他行の借り入れと比べても突出する。09年度は社債や借入金を合わせて1833億円の債務返済があり、約2000億円の資金調達が必要になる。今回の融資に加え、残り1000億円について、今秋にも再び政府融資へ頼らざるをえない状況だ。メリルリンチ日本証券の魚本敏宏リサーチアナリストは「政府支援がなければ、デフォルト(債務不履行)状態に陥ることがほぼ確実だ」と指摘。実質的に国有会社といっても過言ではない。 

6月23日の株主総会で西松遙社長は「いかなる環境でも、安定的に利益を出していきたい」と語ったが、出口戦略は不透明なままだ。09年度は、経費削減の柱となる企業年金改革で給付水準を半減し、特別利益880億円を計上しても、前期並みの赤字630億円が避けられない見通し。この年金改革にはOBや複数の労組が猛反対しており、それぞれ3分の2の同意を得られず頓挫すれば、赤字額がさらに膨らむ可能性もある。

関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
あのころ銀行は<br>無茶苦茶だった

『住友銀行秘史』の著者で元・住銀取締役の國重惇史、元イトマン顧問弁護士の河合弘之、元長銀取締役の箭内昇。平成の金融バブルの最中に起きたイトマン事件の真相と教訓を語る。