東京TY社長「オリンピック前に勝負がつく」 地銀のトップは常に再編を考えている

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――東京都民銀行と八千代銀行の統合は効果をあげているのか。

「ClubTY」という共通の金融サービスを提供するプラットフフォームが、構築できた。人材交流も最初は本部どうしだけだったが、昨年12月から取締役、今年2月から支店長も参加している。また、上海にコンサルティングの現地法人を地銀で唯一持っているが、そこでも合同研修を行っている。これらが効果を上げており、従来であれば、ほかの銀行に取られていたであろう融資や預金を両行が情報交換する中で取り込めている。

――1990年代末には首都圏地銀構想というものもあった。さらに、近隣の銀行と統合していくことを考えているのか。

金融審議会でもフィンテック含めていろいろな規制緩和が議論されており、新たな事業を取り込むためにも持ち株会社は残す。ただ、これにはもう一つの意味があって、当然、ほかの地銀の参加をスピーディに受け入れられるという意味もある。地銀のトップで再編のことを考えていない人はいない。常に考えているだろう。金融庁も旗を振っている。東京オリンピックの手前で営業基盤を固めておかないといけない。

東京都との連携で新たなビジネスが可能に

――新銀行東京の傘下入りに際しては、東京都と包括業務提携をした。その狙いは?

連携すれば産業振興でやれることがたくさんある。BtoM(ビジネスtoメトロ)、MtoB(メトロtoビジネス)と呼んでいる。昨年から東京都の産業労働局といろいろなテーマでチームを作っている。今年1月には連携推進室を作った。昨年11月には東京都や東京商工会議所が主催する産業交流展、つまりビジネスマッチングのための展示会の入り口にブースを出した。舛添要一知事にも来ていただいた。

都の制度融資の拡大はもちろん、東京TYの独自の融資制度も提供していく。さらに、東京都中小企業振興公社や都立産業技術研究センター(都産技研)と連携して事業可能性評価や知的資産の評価に取り組んでいる。中小企業は自分達が持っている技術やノウハウが“凄い”ことに気づかないことが多い。テレビ番組の「0円食堂」ではないが、自分達が気づかずにいることが大変な価値を持っていて、その技術やノウハウを見直すと新たな事業が生まれる可能性がある。そういう観点もいれて、中長期の経営計画を一緒になって作っている。

また、都産技研、中小企業振興公社ともにバンコクに拠点を出しており、東京TYもタイのカシコン銀行に人を出している。中小企業の現地への進出支援も可能で、タイでビジネスマッチングに取り組むことができる。

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