オリンパスの挑戦、デジカメ第三勢力の形成なるか 

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 そのため、2社合わせて8割超という圧倒的シェアを有するキヤノン、ニコンは顧客をがっちりと囲い込み、右肩上がりの成長を続けたこの数年で大きな利益を得てきた。いきおい、残る参入メーカーは低シェアに甘んじており、どこも利益が出せず厳しい状況に置かれている。

昨年の新規格発表時、オリンパスイメージングの大久保雅治社長は「新基軸を作りたい」と話していた。この基軸とは、メーカーの連合体とも言い換えられる。今後、各社が数%のシェアで競り合うぐらいなら、いっそ「くびき」を取り去り、一眼レフの互換性をユーザーメリットとして訴求する。たとえ“弱者同士”であっても、賛同するメーカーが広がり、ラインナップに厚みが増せば第三勢力になりうる--。オープン化構想の背景にはそうした狙いがある。

同規格を先導する2社は「各社から問い合わせをずいぶんもらっている。採用を真剣に検討されているメーカーもあるようだ。新たな参入をお待ちしている」(オリンパスの小川本部長)。「オープン規格はユーザーに大きなメリットを提供できる。他メーカーにもご賛同いただけるはず」(パナソニック広報部)と、今後の展開に期待を寄せる。

連合形成には冷ややか 見出せない生き残り策

だが現実は厳しい。新規格の立ち上げからもうすぐ1年が経とうとする中、実際にオープン化のコンセプトに賛同を示しているのは、交換レンズメーカーのシグマだけだ。

有力な候補の一つで、一眼レフ3位につけるソニーは「参入を考えたことはない。小型一眼を目指すとしても、自社規格で進めることが前提になる」(渡部正二・ソニーデジタルイメージング事業本部AMC事業部統括部長)と、オープン化連合の動きにははっきりと距離を置く。「オープン規格は新しいユーザーには確かにメリットになる。だが(06年にソニーがコニカミノルタホールディングスから譲り受けた)『α』ブランドは、累計で1600万本のレンズを売ってきた。これを所有する既存のお客さんを切り捨てるなど、簡単にできることではない」。

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