経済危機で負担感増--授業料だけじゃない!私立にかかる本当のおカネ《本当に強い中高一貫校》

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あくまで任意が建前の寄付金だが「寄付金を払わないと子どもの待遇が悪くなるかもしれない」と心配するのが親心だろう。ただ、森上教育研究所の森上展安氏は、「どの学校でも経営と教育の現場は教育的配慮から切り離されている。心配は無用」と言い切る。実際には、寄付金の支払いが不文律となっている学校も一部にはあるもようだが、多くの学校ではそれほど心配しなくてもよさそうだ。

むしろ、着目すべきは、学外での行事にかかる費用だろう。その筆頭格は「修学旅行」。近頃は公立でも海外への修学旅行は珍しくなく、特に私立では海外が定番だ。文科省データでは、私立中学の修学旅行・遠足費は年間平均6万5462円だが、年間10万円以上の積立金が必要なケースも少なくない。首都圏のある私立中学では、「費用が高すぎる」と保護者から指摘を受け、年2回の校外活動が年1回に減ったという。

加えて、最近増えているのが自由参加の「海外研修」。品川女子学院では各種の海外研修について金額も含めた詳細(07年度の概算例)をホームページで開示しているが、オーストラリア姉妹校3カ月留学が渡航費込みで約40万円から、カナダ提携校4カ月留学が渡航費・保険料含めて約145万円などとなっている。他の学校でも、海外研修の費用は似た水準だろう。あくまで自由参加とはいえ、子どもが「行きたい」と希望した場合には、「お
カネがないからダメ」とは言いにくいものだ。

制服代も侮れない。男子校では詰め襟の学生服を制服にしているケースが多く、指定品でも高額にはなりにくい。しかし、女子校の場合、デザイナーズブランドの制服を用意したり、セーターや靴下まで指定品を買う必要があったりすると、一式20万円近くかかることもある。

「中学と高校で制服が違う中高一貫校の場合、高校1年生でもう一度、新調する必要がある」と話すのは、お財布救急隊スタッフでファイナンシャルプランナーの金子由紀子氏。金子氏は2人の娘を私立中学に通わせる、中学受験の経験者でもある。「娘の学校でも中・高で完全に制服のデザインが違います。ただ中学3年間は買い替えずに済ます子も多いようです。今どきの女の子はスカートを短くするためにウエスト部分を折り込んでいる子が多いので、成長しても、折った部分を戻すだけで済むのでしょう」(金子氏)。


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