お受験で人気の国立大附属、内部進学には厳しい現実《本当に強い中高一貫校》

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受験校ではなく実験校 学力不足は自分で補う

人気の国立大附属だが、その教育内容は独特だ。さらに附属といっても私立大学のそれとは異なる。

国立大附属の特徴は、何といっても「実験校」であることだ。

筑附小の長谷川副校長は「わが校は受験校ではなく教育実験校」と学校の使命を強調する。同校では専科制をとり、教員はそれぞれ授業を受け持ちながら自分の専門教科の指導法や教材開発について研究を行う。「水産業の授業では切り身しか知らない子どもに実物大のマグロを(黒板に)描き、漁から流通までを教え、自作教材を作る。そうした研究内容が教科書や指導要領に反映されていく」(長谷川副校長)。年に2回行われる公開研究会をはじめ国内外から研究視察を多く受け入れており、1904年から続く総合教育雑誌『教育研究』を毎月発行するほか、研究成果をまとめた書籍も数多く出版している。

東京学芸大学は都内5地区に13の附属校や幼稚園を持つ。独法化に伴い附属校改革も推進。その目玉の一つが、附属大泉中学と附属高校大泉校舎を統合・再編し2007年に開校した附属国際中等教育学校だ。

学芸附属大泉では日本の国立大附属中学校初の帰国子女クラスを設置するなど、長年国際教育を柱に実践的な取り組みを行ってきた。その経験と国際バカロレアの中等教育課程を基に「国際教養」という新しいカリキュラムを設定。6カ年の一貫教育を通して国際社会の第一線で活躍する人材の育成を目標に掲げる。

「英語教育を重視しているが、単に英語教育を行うのではなく、英語を通して自分は何をやりたいのか、国際人とはどういうものかを考え、自ら活躍できる人材育成を心掛けている」(赤羽寿夫・主幹教諭)。中等教育の新たなモデルとして文部科学省も注目しているという。「本校の教育目標を今までにないものと評価し、今では積極的に応援してくれている」(福泉悦也副校長)。

お茶の水女子大附属小学校も文科省の委嘱を受けて教育課程の開発を行う。さらに今年度から栄養教諭の教育実習を開始。近隣の日本女子大学にも実習の場を提供するなど、同分野での先導的役割を担う。

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