公立躍進校ルポ-愛知県立 岡崎高校、東大名大で体験研修、知的好奇心を引き出す《本当に強い中高一貫校》

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 岡崎の特長は、受験対策そのものよりは、生徒のやる気を引き出す仕掛けだろう。「他校と異なる特別のことがあるとすれば、講演会がとても多いことかもしれない。当校のOBや、作家の立花隆氏、首都大学東京学長の西澤潤一氏など著名人を招いた講演会を年に十数回行っている。それが生徒の知的好奇心を刺激したり、やる気につながっているのではないか」(鈴木校長)。

文部科学省から、「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定されていることも、他校との違いの一つ。SSHは未来を担う科学技術系人材を育てる狙いで02年度スタート。現在は全国106校が指定されている。SSHの特別課外活動の一環として、希望者は夏休みに東大や名古屋大の研究室などで1週間の体験研修を受けられる。名古屋大とは単位協定も結んでおり、体験研修に参加すれば、将来、同大に入学した場合に単位認定がなされる。

一方で、勉強以外の高校生活が充実しているのも、岡崎の特長の一つだ。9割以上の生徒が部活に参加しており、特にコーラス部は世界合唱オリンピックとも呼ばれる「World Choir Games」で、5大会連続金賞受賞団体の記録を持つなど、高い実績を残している。

旧制中学以来の伝統を反映してか、行事も多い。文化祭や体育祭が盛大に行われるほか、年2回の球技大会や、水泳大会、百人一首大会などもある。鈴木校長は「いつ勉強しているのかと思うこともある」と話す。

受験に直結する取り組みは意外と少ないが、「生徒の自主性を尊重しながら、知性と体と心のバランスの取れた教育を行っていく」(鈴木校長)のがカギだろう。こうした受験指導に偏らない教育方針が、公立名門校ならではの強みといえそうだ。

(週刊東洋経済)

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