話題のOOH広告って何? 場所や建物が最先端の広告に《広告サバイバル》 

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 広告媒体として新規性が高く、動きが激しいのがバス停広告だ。日本では03年、公道での広告が認められた。規制緩和を働きかけたのはエムシードゥコー。フランスの屋外広告業ジェイシードゥコーと三菱商事の合弁企業だ。00年の設立後、まずイオンなどと契約し、「モールスケープ」(右写真)というショッピングセンターの入り口や売り場などに設置する大型広告パネルで収益を確保した。


 その間、広告パネル付きバス停上屋「シティスケープ」(右写真)を日本に導入すべく、国土交通省や警察庁などと交渉を続け規制緩和を勝ち取る。03年の岡山市を皮切りに、横浜、名古屋、大阪など主要都市のバス会社・自治体が次々とシティスケープを採用。09年4月には、34都市1000カ所に拡大した。


 シティスケープでは、エムシードゥコーがバス運営者から道路利用の占用許可を得てバス停上屋を自腹で建てる。自社営業や代理店営業を通して広告を取り、バス停上屋などのコストを回収して利益を上げる仕組み。自治体などのバス運営者は経費負担がなく、公共交通の維持管理に徹することができる。「このビジネスモデルは、リスクを背負える会社でなければできない」と、エムシードゥコーの大山昇取締役は言う。

こうした中、独自路線で注目されるのが東京都だ。00年、バスのラッピング広告を導入、01年には全保有台数の約4割の667台をラッピングするなど好調期もあった。だが、ピークを過ぎた現在は300台程度。サービス向上と増収を図るべく08年3月、広告パネル付きバス停上屋25基を設置した。ただしほかの主要自治体と異なり、設置主体は都自体。都は「都の責任で設置するほうが安定的なサービスが行えると考えている」(交通局資産運用部事業開発課・新井富子課長補佐)。

だが、出稿具合は「設置基数が少ないため、媒体の認知不足や不況の影響で、当初見込みより低い」(同)。09年度中に100基へ拡張し、スケールメリット拡大を目指す。一方のエムシードゥコーは、都に「いつでも協力する準備はある。パートナーシップが実現すれば、最低300カ所は上屋を設置したい」(大山取締役)とラブコールを送る。

(週刊東洋経済)

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