(第29回)<米倉誠一郎さん・前編>ビートルズから自由を学ぶ

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●勉強はまったくしなかった

 学生時代は、役に立たないものを勉強しないといけない。大学の勉強だけをやっていてもしょうがない、ろくな人間は育たない。大学時代にビジネス雑誌を読んでいるようじゃあね(笑)。僕は高校時代に文学をたくさん読みました。今では、まったく覚えていないんだけど、片端から競って読みました。一応は小説家志望でしたから(笑)。
 大学に入ると、「エブリデイ・サンデイ」、本当に毎日が日曜日でした。昔はテレビでお昼に旧い名画を放映していました。一般の人々が絶対に見ない時間です。そんな時間に僕はようやく起きてきて(笑)、それを見て、バンドの練習に出かけたりして、帰ってくるとプロ野球が始まって、それが終わるともう9時になるのです。勉強しなくてはと思いつつ、夜更かししていると、空が白々と明るくなってくる。ああ、寝なくちゃってね(笑)。もちろん、映画館にもよく行きました。大学院時代も似たような生活でした。

●先生になりたかった思いが成就

 大学4年の夏休みにインドに行きました。帰ってきたら、みんなが就職活動で騒いでいるのです。それまで長かった髪をばっさり切って。僕はイカみたいな頭をしていたのですが、そのまま髪を切らずに就職活動をしました。
d  友人に誘われて、ある金融機関に面接に行ったときのことです。友達は3回目なのに、僕は1回目の面接の次に重役面接になった。「おまえ、その髪で受けるのか?」って言われるくらいでしたが、僕は「これがウケるんだよ!」なんて言って、髪を切らずにそのまま面接に行き、一度で受かってしまったのです。そうしたら、「このまま俺の人生、決まっちゃうのかな?」って不安になりました。なにしろモラトリアムだから(笑)。それで違う学部に移って在学期間を延長して、さらには大学院に行こう、先生になろうと思ったのです。
 僕は小学校のときは小学校の先生になりたかった。中学では中学の先生、高校では高校の先生、大学では大学の先生になりたいと思った。なぜかというと、それは、やっぱり夏休みがあるからですかね(笑)。
提供 トレンザ株式会社
(取材:田畑則子 撮影:戸澤裕司

米倉誠一郎<よねくら・せいいちろう>
1953年5月7日東京都生まれ。
企業経営の歴史的発展プロセス、特にイノベーションを中心とした経営戦略と組織の史的研究を主たる研究領域とし、経営史を専門とする一方で、関心領域を広く保ち、学際的であることを旨としている。『一橋ビジネスレビュー』編集委員長、六本木ヒルズ・アーク都市塾長でもある。 一橋大学社会学部、経済学部卒業後、一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。その後、ハーバード大学に留学し、Ph.D.取得(歴史学)。1995年より一橋大学イノベーション研究センター教授。著書は『経営革命の構造』(岩波新書)、『脱カリスマ時代のリーダー論』(NTT出版)ほか多数(公式サイト)
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