産油国バブル崩壊は通貨危機の連鎖に繋がる アジア通貨危機を超える危機になる可能性

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原油価格の行方を占うカギの一つは米国のシェールオイルの生産がどれだけ減ってくるかということ。もう一つが中東産油国の行方だ。

世界の産油量は1日当たり9500万バレルで、そのうち400~500万バレルを担っているのがシェールオイル。これはイラク1国分に相当する。しかし、需給バランスで考えるとたとえ10万バレルぶれても価格は変動する。

シェール革命でバランスが崩れて価格は下がった。ただ、シェール企業は4000~5000社もあり、ハイイールド債で資金調達しているため、資金調達が困難になることで、操業が困難になり生産量が減ってくる。

シェール減産で年央には40ドルを回復する

2015年までは80%は油価が高かったときのヘッジが効いているし、資金繰りもできていた。2016年に入るとヘッジ率は大きく下がってくるはずで、ジャンク債市場も暴落しているので、減産は進むと思う。IEAは70万バレル減るという見方だ。シェール企業の資金の借り換えが今年の春頃なので要注目だ。

中東産油国の出方だが、産油コストが10~20ドルと低い。サウジアラビアもロシアもほかの産油国も増産体制をまったく崩しておらず、協調減産も難しいとみている。

昨年の9月にシンガポールでFT主催のコモディティ会議があった。そのメインスピーカーがロスネフチのセチン会長だったが、「実はOPECからメンバーになってくれと頼まれているが、参加なんかしないと一蹴した」「自分たちで決めた生産の枠すら守れないようなOPECはもう過去の遺物だろう」などと述べていた。油価を上げたい人たちなので、協調減産の噂は流すと思うが、実際には成立しないと思う。

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