メーカーは「文系女子」を採用したがっている キリン、アルプス電気で活躍する女性たち

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中村さんは、多くの分野に向けて製品を供給する部品メーカーを中心に就職活動し、グローバル展開が進むアルプス電気に入社しました。「海外営業で活躍したいという希望を受けとめていただいたことが入社の決め手です」。

同社の人事部人材開発グループの内山光美マネージャーによると、「面接時に職種希望を一旦確認したうえで、入社後に社内研修や職種説明会を実施、その後に配属面接を行い最初の部署を決定します」とのこと。

同社では3~5年間を目安に幅広く実務経験を積む「育成型ローテーション」を実施していて、10年で2~3の部門または職種を経験することが多いようです。

新入社員教育の一環として、モノ作りの現場を体験する製造実習があり、中村さんは5カ月間、スマホ向けカメラ部品の製造に携わりました。「現場に接することで、営業と開発や設計、生産管理との関わりをイメージすることができ、大きな収穫となりました」(中村さん)

聞いて回ってスキルアップ

営業職の醍醐味を尋ねたところ「いろいろな部署の方と関わることができ、単に製品を売るだけではなく、調整役やパイプ役になれるところ」と中村さん。当初は、専門用語が飛び交う現場に驚いたそうですが、とにかく聞いて回り、スキルを高めていったとのことです。

「今後の目標は海外勤務。異文化に触れることで視野を広げつつ、自社製品を広めていきたいです」。アルプス電気では海外勤務に男女の隔てはなく、これまでも数名の女性社員が、北米や中国、マレーシアなどで活躍。中村さんの目標も近い未来に実現するかもしれません。

最後に、メーカーへの就職をためらう文系女子学生にメッセージをいただきました。「性別や学部は関係ありません。興味があるなら、まずは扉を叩くこと。面接では、やる気をぶつけてください」(中村さん)。

内山マネージャーからは、「就活にあたり、業界や職種の間口を自分から狭くするのは、もったいなことです。アルプス電気では、性別や文理の違いは関係ありません。国内・海外問わず、様々な活躍の場があるので、ぜひチャレンジしてほしいと思います。やりたいことがあるなら、思いを受け止めてくれる会社を見極めること。意思あるところに道は拓けます」とのことです。
 

大正谷 成晴 編集者・ライター

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おしょうだに・しげはる

1973年生まれ。フリーランスの編集・ライター。ビジネス全般、株式投資、FX、投資信託、クレジットカード、介護など、幅広いジャンルで取材・執筆を行っている。著書に『1万円からはじめるFX超入門』。

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