「未来のバンドエイド」は傷をこうやって治す ゲル状のぐにゃぐにゃ素材が秘めた能力

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ヒト組織を模倣したゲル状の素材にセンサーと電子機器を組み込むことで、人体を経過観察して治療する新たな生物医学装置の開発が期待されている。ひょっとしたら未来のバンドエイドはこのような形体になるかもしれない。

「『ヒドロゲル』と呼ぶこの物体は水分量の多い網状高分子。ポリマーの割合は全体のわずか5~10%に過ぎないが、この網目が極めて重要だ」と、マサチューセッツ工科大学(MIT)機械工学部Xuanhe Zhao准教授は話す。

なぜ重要かというと、このポリマーの微細な編み目が従来の人工ヒドロゲンにはない、特殊な性質をもたらすからだ。同大学が開発したヒドロゲルは伸縮性に優れているため、表面接着性が高いほか、人体(体内及び体外)に適合するように特殊設計されている。これにより、これまでにないような斬新な生物医学装置が製造できる可能性がある。

自動的に異常を検知し、薬を投与

より高度なアプリケーションが展開できるように、この素材にセンサーやさまざまな医薬品を投与するための装置など、各種の電子機器を組み込んでいると、Zhao准教授は話す。

ヒドロゲルがより高度なことができるようになれば、たとえばバンドエイドも傷を自動的に観察して治療できるようなツールとなり得る。

たとえばヤケドの治療も「センサーが体温の異常上昇を検知した場合に命令が送られ、治療に適した薬を自動的に、特定の場所めがけて投与することができる」(Zhao准教授)。

現在研究は、ヒドロゲルの性質や機能性を微調整できる段階まできている。かすり傷から潰瘍まで、まるでバンドエイドを貼るように、気軽に治療できるようになることが期待されている。

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