「地域ブランド化」が失敗に終わる3つの理由 難易度が高い上、凡庸な商品では無理がある

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旬の有機野菜を露地栽培し、飲食店などに販売している久松農園(撮影:今井康一)

2006年からスタートした地域団体商標制度をひとつのきっかけに、「地域ブランド」の取り組みが全国で行われています。

夕張メロン、大間まぐろ、といった伝統的に定着し、成果を上げる地域ブランドが商標登録する一方、玉石混交の「なんちゃって地域ブランド」活動も多数発生。一部の成功事例をネタに地元団体と名ばかりコンサルが組んで、補助金目的で取り組み、結局は頓挫することが繰り返し行われています。

「地域ブランド化」で陥りやすい罠

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そもそも大抵の地域において、いきなり地域ブランド化を進めるのは合理的ではありません。失敗する背景には、主として3つの理由があります。

理由1:ブランド化に適さない凡庸な「地域」と「商材」

地域ブランドは「一定の知名度のある地域」で「特徴ある商材」がセットになることによって、成立します。

そもそも名前だけで地域の特性やストーリーを誰もがイメージでき、価値が上がるブランド力の地域はそれほどありません。さらに肉や魚や貝や米や水といった商材、はたまた山や田畑や海や川といった観光資源も、日本中を見渡せば多数存在しています。

その地域が駄目だとかではなく、凡庸な地域と商品のまま、わざわざ「地域ブランド」による地域活性化を目指すこと自体が打ち手として、適切ではないということです。

理由2:コンサル頼みでは「汎用品・地域ブランド」しか生まれない

さらに地域ブランドを推進する農協や商工会なども自分たちで考え、自分たちで資金調達し、投資して行う所は稀有です。そのほとんどは、国や自治体の補助金を活用し、さらにコンサル頼みでその計画を進めます。

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