新生GMはいばらの道、オバマは「国有化」を決断したが…

政府融資の前提となる再建策をまとめられず時間切れ。米ゼネラル・モーターズ(GM)は6月1日に米国連邦破産法11条(チャプター11)を申請し、裁判所の管轄下で経営再建に入った。

今後60~90日をメドに再建を終え、年内の黒字化を目指すという超短期シナリオを描く。少なくとも11の工場が閉鎖され、三つは操業停止となる。ブランドはシボレーやキャデラックなど四つに半減させ、事業規模は現状の6割に絞る。従業員も数万人規模で解雇される見通しだ。

負債総額は約16兆円、製造業では米国史上最大の破綻だが、リーマン破綻時のようなパニックは起きていない。債務を削減する代わりに、政府が株式の過半を所有する“ガバメント・モーターズ(GM)”となることから、「Xデー」を市場は冷静に受け止めた。

6月1日の演出

くしくも1日、先にチャプター11を申請していた米クライスラーが、裁判所から再建計画の了承を得て“俗世”に戻ってきた。わずか1カ月での再建手続き完了である。

GMの申請に合わせて行った会見で、オバマ大統領はクライスラーの進展について幾度となく言及し、「クライスラーの5月の販売は4月を上回った。国が早期再建に全面的にかかわったおかげだ」と胸を張ってみせた。が、これは詭弁だ。クライスラー販売店が5月から最大6000ドル(約59万円)もの値引きをし、在庫一掃セールをかけたにすぎない。クライスラーの再建計画に実効性があるかどうか、評価には時間がかかる。

GMショックの“緩衝材”となることが優先され、クライスラーの計画がぞんざいに扱われたとすれば、再度のチャプター11申請など、手痛いツケが回ってくるだろう。

今回の国有化という措置も極めてトリッキーだ。大統領は「GMは負債の山を築いてきた。さらなる融資は過去の間違いを繰り返すことになる。株保有しかなかった。経営はしない。興味もない」と強調している。ただ、普通株の約6割を持つことになった筆頭株主(政府)が、議決権を行使しないわけにはいかない。ある米国企業再生専門家は「当事者として議決した戦略が失敗した場合、オバマ政権はその責任をどうとるのか。とれるのか」と指摘する。

たとえば、小型車は採算を考えれば新興国で造るべきだが、新生GMは国内の雇用を考慮し米国内で生産するつもりでいる。収益最大化を求める立場の株主としてそれを容認するのか。これに限らず、今後の再建過程で政府は何度も難しい判断を強いられるはずだ。

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