(第4回)ストレスに強くなる生活習慣・その2 お酒との付き合い方編

(第4回)ストレスに強くなる生活習慣・その2 お酒との付き合い方編

亀田高志

 ストレス解消にお酒を飲むビジネスパーソンが多い。深夜に帰宅した後、気晴らしにお酒を飲む。緊張を解き、時に不眠を解消するためにお酒に手を伸ばす。そのうち、毎晩飲むようになり、酒量も増えていく。
 実はお酒を飲んでもストレス解消はできない。睡眠の質を下げ、疲労を増し、メンタルの状態も悪くするからだ。お酒との付き合い方はストレス社会で負けないためにとても大切なのである。

●お酒でストレス解消はできない

 眠るためにお酒を飲むというビジネスパーソンが多い。国際比較でも特に日本人は眠れない場合にお酒に頼る傾向がある。「寝酒」という言葉があるくらいだ。
 確かにお酒を飲むと寝つきは良くなる。しかし、脳が休養し、活力を回復するのに大切な睡眠の質を悪くし、疲労回復を妨げる。脳がアルコールの影響を受けて、酔いが醒めた後の気分はうつ的になる。「二日酔い」という言葉を職場でよく聞く。アルコールが体内で分解される過程で生じる物質が頭痛などの不快な症状を引き起こすという意味だ。「二日酔い」以前に、本当は睡眠の質の低下とお酒の脳に対する影響が相当にある。

 「やけ酒」とは例えば職場の嫌なことを忘れるためにお酒を飲むということ。つまりストレス解消のためなのだが、睡眠の質を低下させ、気分をうつ的にする。当たり前だが、飲んだからといって職場のストレッサーは解消されていない。翌日、疲れて、落ちこんだまま職場に行く羽目になる。ストレス解消には程遠い。

●休肝日と適量への誤解

 職場で健康診断を受けて「休肝日」についての説明を受けたことがあるだろう。「週1日はお酒を飲まない日を作りましょう」と保健指導で言われる。脂肪肝だのカロリーだのという理屈がつく。多くのビジネスパーソンに問診をしてきた経験では、半年間でも週1日の休肝日を守れるケースは稀だ。何故なら、お酒は習慣になり、果ては「依存」を作り出すからだ。まず、精神的にお酒に頼るようになる。高じると、お酒が切れると禁断症状が出るほどの身体的な依存症になってしまう。

 「適量」も誤って考えられやすい。心身の健康を考えた場合の「適量」は、酒飲みの感覚に比べると極めて少ない。「適量」はビールでコップ1杯程度という説もあり、純粋に身体的な健康のことだけを考えるなら飲まないほうがよいと言う専門家さえいる。しかし、「適量」は少なめに飲むくらいの量と自分の感覚で決めているケースが多い。本当の「適量」をはるかに超えているのだ。毎日飲むようになるといわゆる耐性ができ、酔うためにもっとお酒を飲まなくてはならなくなる。休肝日と同様に「適量」を維持するのも難しい。健康診断の問診で、受診者が申告する酒量は実態の半分から三分の一程度しか反映されていないとする調査もある。少なめの申告に基づく保健指導では効果に疑問が残る。

 日本は村社会であるためお酒に寛容な文化があると言われている。しかし、アルコール依存症患者は人口の約1%~2%いると調査で明らかにされている。身体的な依存症と診断されるレベルだと病気で早世するケースが増える。事故や事件に巻き込まれることもある。仕事を失い、家庭まで壊してしまう。依存症では脳の中に快感のサイクルができているので、意思の力でこれを断ち切るのは大変だ。専門の医療機関で治療や指導を受けても、お酒を断ち、立ち直るのはとても難しい。ストレス解消どころの話ではない。

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