悲願の米国合弁解消 武田薬品のウルトラC

悲願の米国合弁解消武田薬品のウルトラC

米市場の自販体制確立が悲願の武田が米合弁会社を“分割取得”。最大市場にどこまで食い込めるか。

武田薬品工業は米国事業を再編する。米アボットとの合弁会社TAPファーマシューティカル・プロダクツ(TAP)を4月に会社分割し、100%子会社の武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ(TPNA)と7月にも合併させる。

米国進出の橋頭堡としてTAPが設立されたのは1985年。前立腺ガン・子宮内膜症薬リュープリンや消化性潰瘍薬プレバシドで成長した。純利益は2007年12月期で9.96億ドル。07年3月期でも武田に610億円もの持ち分法利益をもたらした。ただ、武田は98年に自前組織のTPNAを設立。TAPも完全子会社化して開発・販売の一体化を企図したが、合意に至らず時間を空費してきた。今回、株式買収ではなく「アーン・アウト(earn out)」という仕掛けを繰り出し、10年超の懸案にピリオドを打った形だ。

カギは価値調整金

出資比率と同じく50対50の割合で資産分割を試みた両社。専門領域に特化したいアボットにはリュープリンを、開業医領域に強みのある武田にはプレバシドと新薬候補を帰属させることになった。が、主力2品目のTAP売上高は前者が6・45億ドル、後者が22・75億ドル(07年度)。約2対8と差が大きすぎる。

そこで、今後5年間にわたり武田がアボットへ実績に応じた「価値調整金」(アボット側によれば上限15億ドル)を支払うことで“折半”する。アーン・アウトは一般的に、高成長ベンチャー企業の株式売買の際、将来の業績次第で支払金額を上下させる目的で使われる。今回のスキームはその“応用”と言えそうだ。仮に1年最大300億円程度のキャッシュアウトなら「武田にとっては研究費(が増える)程度。税金を払いたくないアボットにとっても都合がいい」(山口秀丸・日興シティグループ証券アナリスト)。

80年代に国内製薬各社は相次ぎ米国進出を図ったが、輸出や現地企業との共同販売にとどまり、自社販売化には手こずってきた。「武田はこれで自販体制が完成した。自分で全部売れば利益も全部取れる」(同)。

国内は医療費削減で低成長が必至。最大市場である米国にどこまでコミットできるのか。合弁解消はあらためてその本気度を占う試金石だ。

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