マンション管理

「マンション標準管理規約」
改正のポイントとは

拡大
縮小

欧米では管理者業は実績もあり、社会に認められた存在です。日本ではまだ専門の管理者業者はいませんが、弁護士や公認会計士、建築士、マンション管理士などのバックボーンを持つ人が管理者としての役割を果たすものと期待されています。マンション管理会社が管理者になることも考えられます。改正された規約では、これらの専門家が役員になれるような規定も盛り込まれています。

「コミュニティ形成」の削除は
良好なコミュニティ内の無用な対立回避のため

―― 今回の改正では「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」の規定が削除される方向で進んでいます。一方で、マンション管理に関する基本方針である「マンションの管理の適正化に関する指針」では、コミュニティの形成について、「マンション管理の目的を達成するため、積極的に取り組むことが望ましい」と記載される予定ですが、両者は矛盾しないのでしょうか。

福井 誤解をしている人が多いのですが、「コミュニティ形成」の規定が削除されたことは、コミュニティ形成が不要であるという意味ではありません。実際は、むしろ逆です。

マンションの資産価値を維持するためには、良好なコミュニティ形成が不可欠です。しかし、現状はその定義があいまいで、トラブルも起きています。たとえば、居住者が強制的に徴収される管理費を使って、一部の居住者だけが宴会をしていた事例などがありました。これらのほか、任意で加入する自治会やサークルなどへの管理費からの拠出についても法的には問題があり、実際に訴訟も起こっています。

良好なコミュニティ形成のためには、これらの無用な対立につながるトラブルを未然に防ぐことが大切です。そこで、任意の経費と管理費の一体徴収を分けるようにしました。

もちろん、マンション全体の防災・防犯、美化・清掃などのコミュニティ活動は可能で、管理費を使ってもかまいません。今回の改正では「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上」といった規定を管理組合の業務に加えています。

―― 今後、春から夏にかけて、総会を迎える管理組合も多いと思われます。今回の「マンション標準管理規約」の改正をどうとらえるべきでしょうか。

福井今回の改正では、前述したような内容に加え、暴力団などの排除規定、駐車場の選定方法や空き駐車場の外部貸しの税務上の注意、災害や事故が発生した場合の管理組合の意志決定や理事などの専有部分への立ち入りなど、これまで課題となっていた多くの点をクリアにしています。

今回の改正をきっかけに、それぞれの管理組合で、自分たちのマンションの資産価値を維持・向上させ、快適な居住のためにどのような選択肢があるのか、ぜひ話し合っていただきたいと願っています。

資料請求
関連ページ
日本総合住生活
くわしくはコチラ
コミュニティワン
くわしくはコチラ