私大文系に通わせるなら700万円は覚悟せよ 大学の学費、トータル金額を知っていますか

拡大
縮小

予備校の場合は、大学合格により入塾を辞退した場合には、入塾金を返還する制度を設けている。大手予備校などでは、大学の合格発表待ちであることを伝えたうえで入塾の予約をしておけば、3月下旬まで入塾手続きを猶予されるところもある。

ただし、地方から都市部の予備校に入塾するなどで、予備校付属の寮や学生アパートなどを希望している場合には注意が必要だ。人気の物件は募集開始とともに満室になり、申込金を支払わないと部屋を確保できないことがある。また、大学合格により入居をキャンセルしても、申込金は返還されないケースもある。このあたりの取り扱いは、予備校や仲介会社によく確認するのが賢明だ。

子どもの大学入学後は親自身の老後も近づいている

一方、受験費用や入学金は4年間(あるいは6年間)の序の口に過ぎない。やはり、大きいのは毎年の学費など入学後にかかる費用だ。子ども1人当たりの1年間の在学費用の平均は、高校が60.3万円であるのに対して、大学では141.8万円と2倍以上に跳ね上がる。

しかも、高校では国の「高等学校等就学支援金制度」により、親の所得に応じて原則月額9900円(モデル世帯で年収910万円未満の世帯が対象)、私立高校などの場合はその1.5~2.5倍について授業料への補助があり、親の負担は軽減されている。一方、大学ではこのような国の制度はないため、負担感は一段と増すことになる。

大学の在学費用は、国公立大で年間平均107万円なのに対して、私大なら理系で169.4万円、文系で147万円だ。4年間にすればその差額の合計は理系で約250万円、文系でも160万円になる。わが子のためならと、受験までは塾や予備校、受験費用などに惜しみない投資をしてきた親でも、子どもが大学に進学した後には自身の定年退職と老後が視野に入ってくるだろう。人生の次のステージを見据えたとき、この差額は決して軽んじられないはずだ。

次ページ子どもの負担が増えている理由
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT