アルジャジーラが挑む「分散型戦略」の全貌 フェイスブックで視聴回数22億回を叩きだす

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「AJ+」の戦略は、Facebookに重きを置いているが、インスタグラムには5万6500人ものフォロワーがいて、YouTubeとTwitterにも、それぞれ17万人と16万6000人の登録者を獲得している。

「この手法の良いところは、以前よりも私たちをオーディエンス中心に物事を考えるようにしてくれたことだ」と、「AJ+」のエンゲージメント部長を勤めるジガール・メタ氏は話す。「どこにオーディエンスがいるのか、どうやってコンテンツを消費しているのかなど、私たちはオーディエンスのことを常に考えている。このように考えることが、それぞれのプラットフォームでの記事の書き方や伝え方の違いにつながってくる」とも話してくれた。

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「AJ+」、Facebookでのアクセス数

最近、コンテンツ分散戦略がパブリッシャー企業での流行となっている。これは、Facebook、インスタグラムやSnapchatなどと手を組み、それぞれのプラットフォームに対応したコンテンツを作成することで、オーディエンスの拡大を目指すというものだ。同様のプラットフォームである「BuzzFeed」「ビジネスインサイダー」「クォーツ(Quartz)」「フュージョン(Fusion)」など、すべてこの戦略でそれぞれの目的を達成している。

プラットフォームごとに異なる戦略

このコンテンツ分散戦略において、「NowThisNews」が「AJ+」にもっとも近いライバルと言える。どちらもプラットフォーム戦略を中心に考えているからだ。

しかし、今後両社がどう収益化を図っていくかは不明なままだ。巨大なオーディエンス層を構築し、プラットフォーム側と広告取引をするか、もしくは巨大なオーディエンス層を狙っているブランド企業と手を組むかのどちらかになるだろう。

問題は、YouTubeで成功した戦略が、現状ではFacebookに使えないということだ。メタ氏は、「AJ+」はまだブランド企業との直接的な契約はできないが、プラットフォームでの収益化は、2016年には開始すると話している。

また、メタ氏によると、「AJ+」は製作済みの動画をそれぞれのプラットフォームに対応するように作り直しているだけではないと話す。それぞれのプラットフォームではどのような手法がふさわしいのか、目を光らせているというのだ。

たとえば、シリア難民問題について書かれた最新の記事では、シリア難民たちがGoogleで検索していた単語や文章を話題に取り上げ、Facebookに記事を投稿している。

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