アデランス経営の混沌、会社提案がまたも否決

拡大
縮小


 社内には難題が山積する。渡部新社長は本体の副社長や生産子会社社長を経験したOBで、スティールには旧経営陣に不満のある元役員らが引き合わせたとされる。そのため�敵側�についた渡部氏への拒否反応は強く、株主総会直前にアデランスが出した文書にも、「当社と利益が相反する事業を行うとともに、訴訟の相手方に積極的に協力するなど、敵対的な関係にある」と激しい批判がつづられた。

アデランスの各子会社にも、昨年の定時株主総会で役員再任を否決された岡本孝善元社長らが取締役として残っていた。「この1年、岡本氏らが経営を骨抜きにした」と激怒するスティール側と今後、激しい攻防となるだろう。

経営の混乱で業績や株価が低迷し、損害を被るのは当のスティールである。スティールのアデランス株の平均取得価格は約2700円だが、現状は3分の1程度。「友好的に再建を目指したユニゾンに任せたほうが得策だったのでは」(業界関係者)との声を跳ね返せるか。

■業績・事業概要など企業データの詳細はこちら

(吉川明日香 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT