次期大統領候補の発言に見る対中・外交政策

次期大統領候補の発言に見る対中・外交政策

いよいよアメリカ次期大統領選が近づいてきました。いろいろな報告書を読んでみても、現状において各大統領候補の対中外交は、さほど明確にはなっていません。やはりアメリカ人の関心はイラク中心で、アジアへの関心はまだ低いようです。それでも雑誌『フォーリンアフェアーズ』に各候補が外交政策を出していますし、またネットにも各候補者の過去の発言を見つけることができます。

以下では、私が各候補のサイトを見て感じた外交政策の違い、それから『フォーリンアフェアーズ』に書かれた各候補者の対中政策について整理していきます。


--民主党--

【1】ヒラリー・クリントン候補

彼女の一般的な政策については、http://www.hillaryclinton.com/issues/に記載されています。同サイトには「イラク撤退」との見出しが大きく出ています。彼女が考えるアメリカが取るべき国際的ポジションについてはhttp://www.hillaryclinton.com/issues/security/があります。しかし、ダルフールや北アイルランドへは言及がありますが、中国や日本については言及がほとんどありません。

雑誌『フォーリンアフェアーズ』(11・12月号)では、彼女は以下のような外交姿勢を示しています。

・ 中国との関係は今世紀における最も重要な二国間関係になる
・ (自分は)上院インド議員連盟の共同議長を務めており、インドは重要である
・ 日本は中国の環境問題や地域内の共通課題に共同で取り組むべき関係国の一つである

これを見ると、彼女の外交姿勢は非常にバランスがとれているように思えますが、実は支援組織である労組を意識してか、中国を警戒する発言もしています。例えばFRBのバーナンキ議長やポールソン財務長官に対して書簡を送り、中国が保有する米財務省証券を減らすようにと意見も述べているのです。また人民元の為替レート問題屋人権問題について、中国政府に対して厳しい発言もしています。

個人的には、夫ビル・クリントン氏が中国寄りの政策を進めたことからすれば、彼女が当選すれば、我が国としてはなかなか厳しい状況になるように思います。


【2】バラック・オバマ候補
オバマ候補の政策はhttp://www.barackobama.com/issues/に掲載されています。外交問題ではクリントン候補同様「イラク撤退」の見出しが大きく出ています。アメリカの国際社会での位置づけについては、コンゴやダルフール問題への対応、核不拡散、テロの武装解除について言及しており、わが国と協調しやすい外交姿勢であるように思えます。

オバマ候補は、中国との協調路線を目論んでいるようです。2007年4月の民主党大統領候補・討論会では、「中国は敵でもなければ、味方でもない、われわれのライバルだ。しかし中国との関係を安定化させるために、我々は米中軍部間の接触を増やし、関係の強化に努める必要がある」と述べました。この考えにはわが国も協力できるのではないでしょうか。毎年、経済成長以上の軍備増強を進める中国軍を牽制するためにも、米中軍部間の交流を進める必要があるというのです。

またオバマ候補は、中国の人民元レートや人権問題、知的財産権問題についても問題を指摘しています。『フォーリンアフェアーズ』(7・8月号)では、

・ 中国の台頭、日本や韓国の発言力拡大の状況を勘案し、特定の問題に限定した取り決めを超える、より効果的な枠組みの構築に取り組むべき
・ 中国は、成長しつつあるパワーとして責任ある役割を果たすべき

というオバマ氏の外交姿勢が記載されています。


【3】ジョン・エドワーズ候補
エドワーズ候補の対中路線を見ると、中国の重要性について触れてはいるものの、上記二人よりも中国に対して厳しい発言が見られます。これは労働組合を支持基盤としていることと関係あるでしょう。例えば『フォーリンアフェアーズ』(9・10月号)には、

・ 貿易、気候変動、人権等の問題に関して、(米国は)中国を国際規則にコミットさせていくべき
・ インドは大いなる潜在性を秘めた国であり、米印関係は21世紀の国際社会における重要なパートナーシップである
・ (米国は)日本、英国とは強固なパートナーシップを維持するべき

という同候補の外交姿勢が示されています。

エドワーズ候補は他のカンファレンスなどで中国の大国化を容認する発言もしています。でも実際に大統領になった時にどのような政策を取るのかは、正直まだ見えづらいといえます。

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