焦点:企業収益に変調の兆し、「中国」「資源」の不安で特損も

「中国」「資源」で多くの企業が特損を計上

 2月5日、アベノミクス下で拡大してきた日本企業の業績に変調の兆しが広がってきた。写真は都内のビジネス街で1月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 5日 ロイター] - アベノミクス下で拡大してきた日本企業の業績に変調の兆しが広がってきた。2016年3月期第3・四半期の決算では、非製造業を中心に業績見通しを上方修正する企業がある一方、特別損失の計上や予想の下方修正を発表する企業も相次ぎ、収益の二極化が目立つ。

資源価格の低下や中国を筆頭とする新興国経済の先行き不安などが理由で、日本企業の「稼ぐ力」への悪影響を懸念する見方も広がりつつある。

大和証券が5日にまとめた2015年10─12月期の決算速報によると、同社が時価総額の大きな企業として選んだ200社(大和200)のうち、4日時点で114社が決算を発表。そのうち、会社予想(経常利益ベース)を下方修正した企業は21社で、上方修正企業の20社と同レベルに並んだ。

下方修正企業は為替や海外市場、資源相場の影響を受けやすい製造業が18社と大半を占める一方、上方修正の半数は非製造業だった。

楽天証券経済研究所も同日、「2016年3月期に予想される増益率の見通しは低下している」とするリポートを発表。それによると、東証1部上場の主要837社の今期予想(同)は昨年12月末時点で6.1%増(全産業ベース)だったのに対し、3日時点の決算では4.2%増に低下した。

収益見通しに慎重になる企業が増えている大きな要因は、中国経済の減速と原油など資源価格の低迷だ。

ファクトリーオートメーション(FA)やロボット機器を展開するファナック<6954.T>は、1月28日の決算発表で今期の営業予想利益を前年比29.5%減の2101億円とし、従来予想を3.8%下方修正した。「中国での減速の動きが一層顕著となり、その影響が台湾と韓国にも及んできた」ことなどが理由だ。

また、15年度の第3・四半期決算(4─12月期決算)が減収減益となったコマツ<6301.T>も、中国など新興国の需要減少の打撃を受けた。同社の藤塚主夫・専務執行役員CFOは「上期に比べ落ち幅は減っている」としながらも、「まだ落ちていることには変わりはない」と話す。

同様に通期予想を下方修正したパナソニック<6752.T>の河合英明専務は「中国でのエアコン、デバイス事業やICT(情報通信技術)向け二次電池などの販売低迷は下期に入って加速した」と指摘、新興国での経営環境が悪化しているとの見方を示した。

一方、海運や鉄鋼、資源関連事業を手掛けている企業による減損処理も相次いでおり、業績の下押し圧力が高まっている。

住友商事<8053.T> は、ニッケル価格の下落で打撃を受けたアフリカ・マダガスカルの採掘事業を理由とする約770億円を含め、資源関係で1116円の減損損失を計上した。

新興国の景気減速や資源相場の低迷は海運各社も直撃しており、日本郵船<9101.T>は海運市況低迷の長期化などを理由に約335億円の特別損失を計上した。

大和証券の上席ストラテジストの高橋卓也氏は「主要企業の通期予想は、税引前利益ベースでこれまでの会社予想から2%マイナスになっている。これはアベノミクス相場が始まって以来、めずらしい事象だ」と指摘。「企業サイドが非常に慎重な見方に傾いている表れであり、日本企業の業績が減速基調にあることは確かだろう」と話す。

原油価格の下落などに伴う減損処理については「来期以降プラスに作用するが、発射台が低くなるだけで利益の絶対額でみれば必ずしも拡大するわけではない」と分析している。

(ロイター日本語ニュース)

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