アップルがMacとiPadを1台にしない理由 なぜマイクロソフト流の統合をしないのか

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日本は、「日本語」という特殊な環境を持ちながら、人口が10倍の中国市場と同じように、アップルの決算書類のなかで主要な市場として個別の数字が出されているほどに、重視されている。Macへのソフトウェアの取り組みにおいても、日本を重視している点を、クロール氏は強調した。

「アップルストアの米国外出店は、銀座が初めてです。国際化を考える際、真っ先に日本を考えてきた。製品もいち早く投入してきた市場で、1986年には日本向けのフォントを提供した。辞書機能や、日本語のライブ入力、OS X El Capitanで高精細なRetinaディスプレー向けの新しい日本語フォントの提供など、機能面だけでなく、デザイン面にもこだわっている」

Macの製品をよりよくする際に、日本の消費者に向けた取り組みを強化しており、今後も継続していく考えを示した。また、絵文字については、日本からのフィードバックを受け手Macにも導入されたと指摘した。

Macの魅力は連携機能にある

クロール氏は、Macの魅力についても、複数のアップル製品との簡単で快適な連携を指摘した。披露したデモは、写真・ビデオの編集と、音楽ソフトウェアについてだった。

iPhoneで撮影した写真は自動的にMacに同期され、何の操作もなくMacの大きなディスプレイで楽しむことができ、編集してもすぐにほかのデバイスに反映される。また4Kビデオの撮影が可能になり、Macでは3つの4Kストリームを並べて編集できるパワフルさをアピールした。

また音楽アプリでは、新たにiPad向けに刷新されたGarageBandを紹介し、まるでDJのようにループ音楽を作成し、Macに転送して仕上げるまでのデモが行われた。ユニークな点は、連携の手段がiCloud、その場のデバイス同士の共有手段であるAirDrop、メッセージ送信と多彩な点だ。

クロール氏は、クリエイティブがクリエイターのためのものではなく、非常に身近になった点を指摘する。マシンパワーと使いやすいソフトウェアで、誰でもがコンテンツを作り出す可能性がある点は、必ずしもホビーユースに留まらないという。

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