郵政社長続投の火種、総務相再任拒否の大どんでん返しはあるか

郵政社長続投の火種、総務相再任拒否の大どんでん返しはあるか

かんぽの宿の一括売却で鳩山邦夫総務大臣から「出来レースだ」と非難され、業務改善命令を受けた日本郵政。5月22日に開いた取締役会で、西川善文社長を含む現行取締役9名の再任を決議し、6月29日の株主総会に提案されることになった。
 
 ただ、同社唯一の株主である財務大臣の賛成で議案が可決されても、日本郵政株式会社法9条の規定から、総務大臣が認可しないかぎり再任の効力を発しない。重大なカギを握る鳩山総務大臣の“口撃”は相変わらずだ。かんぽの宿の問題を受けて、「企業のガバナンスに問題があるのではないか」と認可に難色を示しており、「人事案はいっぱいある」とまで言う。
 
 鳩山大臣が西川氏の後任として名を挙げたとうわさされるのが、1999年の民営化で初代NTT東日本社長に就任し、現在は同社のシニアアドバイザーを務める井上秀一氏。打診の有無については「まったくない。鳩山大臣と話をしたこともない」と言下に否定している。

一方、西川社長は、「民営化という大きな国民的プロジェクトに指名されて就任した。まだまだ道半ば。上場の準備が整った状態には持っていきたい」と続投に強い意志を示している。両者のミゾが埋まる気配はまるでない。

続投決定前の場外戦

実は、取締役会に先立ち18日に開かれた日本郵政の指名委員会の直前まで、西川氏の社長人事をめぐる“場外闘争”があった。関係者によると、鳩山大臣からの話を受けて、指名委員の一人である奥田碩氏は一時、西川氏「不支持」に傾いたとされる。これを聞きつけた小泉純一郎氏は、すかさず奥田氏へ電話し「経営の判断をしてくれ」と翻意を促したという。

結局、当日の指名委員会で異論が挟まれることもなく、社長続投が「3分で決まった」(日本郵政関係者)。ある社外役員は「西川さんが言うように社員が動くのに3年はかかる。かんぽの宿の問題で社員に脇の甘さがあったのは事実。それを経営者の責任というのは気の毒」と話す。

熱気に満ちた鳩山大臣に比べ、与謝野馨財務・金融・経済財政相は「私は(財務相として)株券を預かる金庫番なので、この問題について興味はあるが、関心は持っていません」と距離を置く。また、5月21日の参議院予算委員会で、自見庄三郎議員から郵政の社長人事について繰り返し質問された麻生太郎首相も、「総務大臣において適切に判断されるものと存じます」と言うばかりだった。郵政人事問題に対する政府内の温度差は明らかだが、波乱の火種が完全に消え去ったとは言い切れない。
(井下健悟、山田俊浩 =週刊東洋経済)

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