シャープ経営陣、ホンハイ逆転劇の裏で迷走 最後まで「先送り体質」から抜け出せず

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最終プレゼン後に、シャープの取締役らは2時間を超えて議論。ホンハイ案に対して実現性に懸念は残るとしながらも、明確な反対姿勢を示したのは「1、2名だった」(関係者)という。

今週に入り、ホンハイは支援金額を従来示していた6000億円超から7000億円規模にまで引き上げた。しかも、当初の案では2000億円とされていたシャープに投じる成長資金は5000億円にまで膨らんだ。

ある取引銀行幹部は「当初は、ホンハイは当て馬。革新機構を本命としてきたが、もはや会社の存続性、他のステークホルダーに対するメリットなどを総合的に勘案すると、ホンハイ案が優れていると言わざるを得ない」と打ち明けた。

「これを袖にしたら、善管注意義務違反を問われかねない」(別の幹部)との声さえ漏れた。ホンハイ案が機構案に比べ、金融支援額がほとんどない点も取引行の背中を押したとみられる。

 

実効性に残る懸念も

 

シャープの取締役会や取引銀行が、ホンハイに抱いている懸念がある。それは実効性リスクだ。

「テリー・ゴーは本当に金を入れるのか」(銀行首脳)──。ホンハイは2012年、シャープに670億円出資する契約を結んだものの、シャープの株価急落を受けて出資を撤回した経緯があるためだ。

シャープは5日にも、経営幹部が台湾に飛び、ホンハイとの正式契約に向けた交渉に乗り出す。

 

 

(布施太郎 編集:田巻一彦)

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