「部外者」が席巻する米大統領予備選の行方 今後の注目ポイントはどこか

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アイオワ州では善戦した、共和党候補のルビオ氏。ニューハンプシャーの結果が今後のカギを握る(写真:Carlo Allegri/Reuters)

米大統領選の民主、共和党の指名候補争いで初戦となった2月1日のアイオワ州予備選挙。共和党では保守派のテッド・クルーズ上院議員が、民主党ではヒラリー・クリントン前国務長官が勝利した。

初戦でハッキリしたことが2つある。一つは、両党とも最終的に誰が候補者になるか、また11月に誰が次期大統領に選ばれるかがますますわからなくなったこと。そしてもう一つは、米国の有権者の「怒り」は予想以上に深く、そして大きく広がっており、従来型の「支配者層」を嫌う有権者は「部外者」に票を投じることで、今度こそ政治に変化をもたらしたいと考えていることだ。

政治経験は「マイナス要素」

この「旧来型政治家=エスタブリッシュメント」に対する有権者の嫌悪感は、共和党、民主党のどちらにおいてもハッキリと見られた。今や政治経験(特に首都ワシントンでの経験)は有権者から尊敬されるどころか疑いをもたれ、称賛されるよりも軽蔑されるようにすらなっている。

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部外者の台頭は特に共和党において顕著だった。今回、初戦を制したクルーズ氏は2012年に上院議員に初当選したばかりの新人にもかわらず、ワシントンで最も評判が悪い政治家の一人になっている。ワシントンでの悪評を名誉にすら思っていそうなクルーズ氏を支持している共和党議員や現職知事は当然のことながらいない。にもかかわらず、アイオワ州では支持母体のキリスト教福音派の力もあって28%の得票となった。

2位以下につけた候補者も旧来型の政治家とは大きく異なる。まず、2位になったドナルド・トランプ氏はご存知の通り選挙戦に出馬したことすらないが、米国政府を率いている「バカで無能な政治家」に反旗を翻すことで高い人気を得ている。3位につけて政治アナリストたちを驚かせたマルコ・ルビオ氏はフロリダ州の上院議員ではあるが、基本的には「反ワシントン」の姿勢を見せている。4番手になったベン・カーソン氏は世界的に名の知れた小児神経外科医で社会活動家としても知られるが、政治については素人だ。

この「反支配者層」の支持率を合わせると85%に上る。いわゆる従来型の政治家である、前フロリダ州知事ジェブ・ブッシュ氏やニュージャージー州のクリス・クリスティ知事、オハイオ州のジョン・ケーシック知事などベテラン勢はまったく足元にも及ばなかったわけだ。

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