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ストレスチェック制度は、本人の気づきとして利用することに利点がある

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ストレスは毎日少しずつ解消する

一方、ストレスの感じ方には個人差がある。「性格の合わない同僚」や「過重な職務を要求する職場」など、周囲の人が見ても、ストレスがたまる環境であれば、本人も自覚しやすい。ところが、「昇進うつ病」のように、他人から見ればうらやまれるような状況でストレスがたまり、うつ病になってしまう人もいる。以前と様子が異なり、仕事でのミスが目立つようになって、初めて周囲も気づくことも珍しいことではない。うつ病になりやすい性格は、「几帳面」「完璧主義」「イヤといえない」などといわれているが、それに当てはまらなくても、大きなストレスを抱えてしまうことはあるのだ。

世の中には、「成果を挙げなければならない仕事で、ストレスを感じるのは当たり前」という人もいる。しかし、精神科の専門医によれば、「日々のストレスをため続けることが、不調につながる」という。ストレスは、毎日少しずつでも解消することがなによりだ。

心身の健康のためには、(1)7時間程度の睡眠、(2)バランスのよい1日3食の食事、(3)適度な運動が勧められている。しかし、多忙な人は、この三つが乱れがちで、さらに対人関係などのストレスも抱えやすい。そこで、専門医が勧めているのが、(4)ほんの少しでもリラックスできる時間を持つことである。

「帰宅しても家族のことでストレスを感じる」場合は、帰宅途中でストレスを軽減することを考えるといい。車中で読書やパズルなど、ちょっと集中できることに取り組むと、ストレスは軽減しやすくなる。友人との軽い一杯も、飲む量が増えると肝臓に負担をかけるなど不健康につながるが、よい気晴らしになるだろう。ランニングなどの運動もストレス解消の一助になるが、筋肉を使い過ぎると神経が興奮して、夜の寝つきが悪くなり逆効果になることもあるので注意が必要だ。このようにほんの少し、気分転換できることを見つけるのが、ストレス解消のコツといえる。このほかに、気分を落ち着かせるハーブティーを飲んだり、神経の高ぶりをおさえる市販薬に頼ってみるという手もある。

もちろん、それでも「イライラする」「眠れない」といったときには、放置せずに、専門医に相談してみることが大切だ。日々のストレスを少しずつ減らすことが、心身を守ると心得よう。

安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。身体の仕組みは、依然として謎が多いことから、病気のメカニズムや予防法、最先端医療や病院の選び方など、幅広い視点で長年執筆活動を行っている。

 

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