柏崎刈羽原発が1年10カ月ぶりの起動、東電に残るハードル

柏崎刈羽原発が1年10カ月ぶりの起動、東電に残るハードル

新潟県中越沖地震に伴う完全停止から1年10カ月--。東京電力の柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)7号機が、ついに起動試験を始めた。通常ならこの試験は1カ月もかからないが、大地震を経た再稼働だけに試験や測定項目が多く、40~50日かけて行う。原子力安全・保安院からも現地へ検査官が派遣され、発電所の中央制御室に24時間常駐させるという前例のない確認体制を敷いている。

出力を段階的に引き上げ、試運転が順調に進めば、6月中にも営業運転に入る。原発停止を火力発電で補完するコストは莫大で、原油価格の高騰も直撃したことで、東電は2期連続で最終赤字を計上。7号機が動くだけでも燃料費など約600億円のコスト削減となる。原料や為替相場の変動など不安定要因はつねにつきまとうだけに、「3年連続の赤字は回避する」(清水正孝社長)うえで、再稼働は大きな下支えだ。

全号機稼働は当面先

最終コーナーである起動試験に入ったが、スムーズに営業運転へ移行できるかは、まだ未知数な部分が多い。主タービンや主発電機、蒸気系配管など、実際にプラントを起動しないと確認できない設備が複数ある。

起動試験から3日後の11日には、「原子炉隔離時冷却系」と呼ばれる設備で、通常の操作ができない不具合が発生した。同設備は、プラントを起動しないかぎり運転できないため、不具合が発生する場合も考えられると、起動試験開始時に東電が例示していた一つだった。今回の不具合では原因の解消が早くなされたため、起動試験の進捗にもほとんど影響が出ていない。だが、新たな不具合が発生し、原因究明に予想以上の時間がかかれば、おのずと本格稼働は遠のく。営業運転という光明が見えかけても、予断を許さない状況は続く。

全号機(1~7号機)に目を向けると、7号機の次に6号機の回復が最も進んでいる。国の審査に時間をとられなければ、今年中の起動試験開始も視野に入る。ただし2、4号機の作業が大きく遅れをとっており、全号機稼働の時期はまるで見えない。

さらに、復旧作業を推し進める中、清水社長が「現場の管理がまだまだ足りないと反省せざるをえない」と話すように、これまでに9件(1件は落雷が原因)起きた火災は重大な問題だ。一連の事態を受けて「(火災原因となった)電気機器や危険物の管理で抜本的な強化策を講じた」(原子力運営管理部の大倉誠部長)。

7号機の稼働が復旧に向けた大きな試金石となる一方で、堅実な作業を実行する責務には重みが増している。

(井下健悟 =週刊東洋経済)

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