「話し下手な人」でも無理なく好かれる会話術 注意!冗舌に話すほどイケ好かないヤツに

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「ときどき2人で話す」のは、会場の人々にリラックスして話す姿を見せることで、「穏やかに話せる人なんだ」という印象を与え、再び1人になったときに話しかけられやすくなるから。また、同伴者がルックスやスキルなどで魅力を漂わせる人であれば、会話をしている博史さんも「同じような魅力がある」と思われて話しかけられやすくなります。さらに、会場にいる好感度の高い人や、仕事のできそうな人に話しかけてもらい、会話する時間を何度か作ることで、好感度が高く仕事のできそうな人に見せるのもいいでしょう。

無言でも好感度はこんなに上がる

もう1人、同僚とのコミュニケーションに悩む淳史さん(仮名、食品会社総務)のエピソードも紹介しておきましょう。根っからの人見知りという淳史さんは、「同僚たちと打ち解けて話したいのに、なかなかうまくいかない」と悩んでいました。そんな淳史さんには、「上着を1枚脱ぐ、ネクタイをゆるめる」「仕事がひと段落した人と目を合わせる」「話しかけられたい人のごほうびや癒やしに近づく」の3つをアドバイスしたのです。

上着やネクタイの動作は、自分がリラックスしていることを伝えるわかりやすいサイン。仕事がひと段落したタイミングは、アイコンタクトで「お疲れさま」を伝える絶好のチャンス。ごほうびや癒やしは、誰かを受け入れる心のゆとりがあるなど、いずれも相手から話しかけられる可能性を高めることができます。

また、淳史さんには、話しかけられて会話が始まったときのために、「緊張するなら相手の目はほとんど見なくてもいい」「相手と同じタイミングで呼吸する」「話の盛り上がりに合わせてボディアクションの大きさを変える」の3つをアドバイスしました。無理して相手の目を見るより話題に関連したものを見ていれば自然ですし、呼吸を合わせることで心と体のリズムが合って一体感が生まれますし、ボディアクションの大きさを変えることで相手はより気持ちよく話すことができます。

これらはいずれも、「ひと言も発していないのに、相手のテンションも、淳史さんの好感度も上がる」方法。その後の会話も2人の関係も、円満なものになるのは言うまでもありません。

ピンチへのリスクヘッジにもなる

『話しかけなくていい!会話術』(木村隆志著、CCCメディアハウス)では88のノウハウを紹介。上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

そもそも、パソコン、タブレット、スマホなどネットツールの発達で、面と向かって話しかける機会が減るなど、対人コミュニケーションに自信のない人が増えているだけに、いきなり「自分から話しかけて相手をコントロールしよう」という考え方自体に無理があるもの。だからこそ、ここで紹介したような「人から好かれて話しかけられる」スキルを身に付けてほしいのです。

みなさんが周りの人から好かれて話しかけられるようになれたら、成功したときは「おめでとう」と祝福され、不安なときは「大丈夫だよ」と励まされ、困っているときは「手伝おうか」と手を差し伸べられるのです。

つまり、好かれて話しかけられるということは、「会話のきっかけ」「気楽でうれしい」というだけでなく、「自分の喜怒哀楽に寄り添ってもらえる」「ピンチをカバーしてもらえる」ということ。笑顔の多い毎日が過ごせるだけでなくリスクヘッジにもなります。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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