子どもたちよ。ゴルフはとっても楽しいぞ

プロゴルファー/青木 功


 「ゴルフというスポーツがなかったら、どんな人生を送っていましたか」。時々そんな質問を受けるんですが、「そうだね、魚釣りと旅が好きだから、マグロ漁船にでも乗って、世界の海を旅してるかな」。そんな冗談の一つでも言えばいいんでしょうが、何度考えても自分にとってゴルフ以外の人生は思いつかないのです。ワンパク坊主だった自分がゴルフに出会い、その好きなゴルフをすることで皆さんによろこんでいただき、その上、いろいろな賞までいただいて、なんて自分は幸せな男だろう、いつもそう思いながら、ゴルフの神様に感謝の気持ちでいっぱいなのです。
 
 そんなゴルフへの感謝の意を形で表したのが、1998年、いまから11年前に始めた『青木功ジュニアクラブ』です。この3月末の学校の春休みにも茨城県のコースで開催しましたが、中学生までの子どもたちを対象にして、年に4~5回を目標に、全国各地にゴルフの伝道師として出かけているんです。
 
 このジュニアクラブは、子どもたちにゴルフの英才教育をして優秀なプロゴルファーを育てるという意味ではなく、多くの一般ゴルファーの方が感じているのと同じように、その楽しさを子どもたちにも知ってほしい、それだけなのです。
 
 子どもたちが学校に通っているときは、成績が上がったらゴルフへ連れて行ってもらえるというよろこび、やがて社会人になったら会社の昇進やその逆でも、とにかく、ゴルフの持つ楽しさと厳しさを知って、ゴルフを心の糧にしてほしいと願っているのです。できれば、ゴルフになじみの薄いプロゴルフトーナメントが開催されていない土地、山形県や鳥取県のいまだプロのゴルフを見たことのない子どもたちに会って、そのビックリした顔を見てみたい。おぼつかない手つきでクラブを握る子どもにゴルフを教えてみたいのです。
 
 どんな風にゴルフの楽しさを教えるかというと、まず「音」でゴルフのよろこびを感じさせます。カップの周り1メートルの所に子どもを立たせカップに向かって順番にボールを打たせるのです。まっすぐにストロークするとボールがカップに入り、「カラン」と心地よい音が耳に響く。ゴルフは目よりも耳で覚えた方が上達が早いのです。目で覚えると体がボールを追いかける癖がつくからです。
 
 初めてゴルフをする子どもにとって、1メートルのパットを沈めただけでも大偉業。自慢げに私に向けるその笑顔は、私にとっても何ものにも代えがたいご褒美なのです。そんな子どもたちともう11年ですから、延べ1300人と出会ったことになります。しかし、このジュニアクラブでいちばんつらいのは、ゴルフ教室が終わった後の子どもたちとの別れの瞬間です。子どもたちに「サヨウナラ」、そう言葉をかけると永遠の別れになってしまいそうな気がして、「それじゃ、またね」といつも言葉を濁すのです。

プロゴルファー/青木 功(あおき・いさお)
1942年千葉県生まれ。64年にプロテスト合格。以来、世界4大ツアー(日米欧豪)で優勝するなど、通算85勝。国内賞金王5回。2004年日本人男性初の世界ゴルフ殿堂入り。07、08年と2年連続エイジシュートを達成。現在も海外シニアツアーに参加。08年紫綬褒章受章。
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